ブスブロックを皮切りに柏手高校は勢いを得て、ポイントを重ねる。しかしそれはレシーブミス、サーブミスなどによる得点。その後はサイドアウトの応酬で四葉先輩、二胡先輩のスキルによる力業に過ぎず、私のセットアップはお姉ちゃんのゲスブロックを躱せるようなトスワークができないまま……。特にセンターからの攻撃とライト・睦美からの攻撃はことごとく潰されていた。

「皆藤、お前も宝の持ち腐れだな、菜々巳(そんな奴)に付き合ったがために。お前も平安(うち)にくれば良かったものの……」
「?!」

「ゔぅぅ~。そんなことないもん……菜々巳と~付き合ってなんかないもん、わたし~、彼氏いたし~」
「?!!」
「!!」

 初めの『?!』はお姉ちゃんの言葉に対する私の驚き。二度目の『?!!』は睦美の『彼氏いる発言』に驚愕しました。お姉ちゃんもびっくりしたようです、きっと多分『!!』は姉の顔がそう言ってました。


「睦美、三咲先輩の言葉に耳を貸すんじゃない……試合中だ。それに……話が噛み合ってないぞ」

 唯一パイセン、冷静です……さすがキャプテン……。

「え゛~?! だってさっき~菜々巳も四葉先輩に『好きです』って告ってたし~」

 何それ? 何でそんなことになってるの? ほら、四葉先輩がまた私と目が合わないようにそっぽ向かれたじゃない……。



「トス~、頂戴~!」

 睦美からのライトへの催促。初めの一本から後、睦美の攻撃はことごとく防がれ、睦美のフラストレーションが溜め込まれている。それでも私のトスを呼ぶのは中学のあのときからだ……。