第2ラウンド、黎明戦を迎える。
前衛
ミドルブロッカー:MB、唯一2年。
レフト:OH、四葉2年。
セッター:S、菜々巳1年。
後衛
リベロ:L、八千1年、和田風香1年(ミドル対角:MB)。
レフト対角:OH、飛田二胡2年。
オポジット:OP(ライト・セッター対角)睦美1年。
ミドルブロッカーの土田早希先輩(2年)に代わって私と同じく新レギュラーの風香(1年)、身長184センチ。
私のスタメンは睦美による功績が大きい。睦美の攻撃力を最大限活かしたい考え、そのためのセッター。これは私のセッターとしての力量がまだまだ不足していることを意味する。
セッターのおかげで攻撃陣の力が最大限に発揮される、でなければならない。それでも感謝。このチャンスを活かさなければ睦美に、五和先輩に、バレー部全員に申し訳ない。
「黎明高校はサーブ&ブロック(* サーブで崩してブロックで仕留める)で得点を重ねるチームだ」
監督のサングラスがギラリと光る。
「例年、黎明は春高に3年を出さない。2年主体の新戦力が、3年時のインターハイの終わりまでそのカラーで戦うのがやり方だ」
毎年毎年戦力が変わる高校部活動で、高さや能力、得意が流動する学生たちを指導して、難度や質の高いコンビネーション等、一定の成果を出すのは至難の業と言える。入部してきた選手たちの特徴と長所を活かす戦術と練習で自信を積んだプレーで戦う様はカッコいいとさえ思う。
「強力なサーブを全員が打って来る。コントロールもいい。ネットを越えた全てのサーブが入ると思え。見逃しはするな、一瞬の迷いでサーブカットを乱される。ブロックもかなり高い。レシーブを乱されれば確実にブロックで仕留めに来るぞ、忘れるな」
一人一人に睨みを利かせるように目を合せる。目を合せる? サングラスの奥の瞳は果たして私とバッチリ視線がぶつかったであろうか? そう思ってると、緊張しまくってる風香に顔を向けた監督が、恰好つけてサングラスを取った! 瞬間、風香が口を抑えながら急いで背ける……見事な平目。
そして次に私へと目線をスライドさせた監督。私は当然のスマイルスルー……できるはずなかった……風香同様、笑いを堪えるため、後ろを向いて咽かえる。
風香、その気持ち良く分かります……笑えるはずないですものね……。風香の咳き込む音が、この場の空気を察するよう呼び掛けている気がしてなりません。笑うと負けなのですから……。
見事な采配で無用な緊張を解いてみせた。流石監督……。
「ラリーでは分があるし、ラリーを終わらせる火力も柏手の方が圧倒してる、レシーブを丁寧に繋げていけ! 忘れるな」
監督の檄が飛び、コートへと走る、いよいよだ。
『ピッ!』短い笛でサーブへの笛が鳴る。この笛から8秒以内に打たないとディレイ・イン・サービスの反則となる。黎明高校のサーブで試合開始だ。
唯一、菜々巳の二人が前に残り、四葉、八千、風香がサーブレシーブに備える。エンドライン際で睦美が攻撃態勢。
相手の背番号1番は、速い助走、高くないトスから大きくジャンプしてのスパイクサーブ、強烈だ。サーブの瞬間唯一がアタックライン際に移動して、いつでもクイック攻撃できるようけん制する。イニシャルレスポンスは固さが残る。
「二胡ッ!」
二胡先輩はいつもプレーに差がない。感情に起伏もなく安定感のあるアクションがチームの安心を生む。しかし稀に強力な幸運を呼ぶ、謎のラッキーガール。睦美と並ぶ、柏手高校の重い主砲。
二胡先輩の右、サイドラインとの間、サーブの威力に二胡先輩の一歩目が怯んだのかもしれない、唯一の呼びかけに身体を一震いさせたのも僅に、身体を伸ばす。何とか腕にボールを当てる……上がった。
しかし辛うじて上がったボール、乱されたレシーブ。
前衛
ミドルブロッカー:MB、唯一2年。
レフト:OH、四葉2年。
セッター:S、菜々巳1年。
後衛
リベロ:L、八千1年、和田風香1年(ミドル対角:MB)。
レフト対角:OH、飛田二胡2年。
オポジット:OP(ライト・セッター対角)睦美1年。
ミドルブロッカーの土田早希先輩(2年)に代わって私と同じく新レギュラーの風香(1年)、身長184センチ。
私のスタメンは睦美による功績が大きい。睦美の攻撃力を最大限活かしたい考え、そのためのセッター。これは私のセッターとしての力量がまだまだ不足していることを意味する。
セッターのおかげで攻撃陣の力が最大限に発揮される、でなければならない。それでも感謝。このチャンスを活かさなければ睦美に、五和先輩に、バレー部全員に申し訳ない。
「黎明高校はサーブ&ブロック(* サーブで崩してブロックで仕留める)で得点を重ねるチームだ」
監督のサングラスがギラリと光る。
「例年、黎明は春高に3年を出さない。2年主体の新戦力が、3年時のインターハイの終わりまでそのカラーで戦うのがやり方だ」
毎年毎年戦力が変わる高校部活動で、高さや能力、得意が流動する学生たちを指導して、難度や質の高いコンビネーション等、一定の成果を出すのは至難の業と言える。入部してきた選手たちの特徴と長所を活かす戦術と練習で自信を積んだプレーで戦う様はカッコいいとさえ思う。
「強力なサーブを全員が打って来る。コントロールもいい。ネットを越えた全てのサーブが入ると思え。見逃しはするな、一瞬の迷いでサーブカットを乱される。ブロックもかなり高い。レシーブを乱されれば確実にブロックで仕留めに来るぞ、忘れるな」
一人一人に睨みを利かせるように目を合せる。目を合せる? サングラスの奥の瞳は果たして私とバッチリ視線がぶつかったであろうか? そう思ってると、緊張しまくってる風香に顔を向けた監督が、恰好つけてサングラスを取った! 瞬間、風香が口を抑えながら急いで背ける……見事な平目。
そして次に私へと目線をスライドさせた監督。私は当然のスマイルスルー……できるはずなかった……風香同様、笑いを堪えるため、後ろを向いて咽かえる。
風香、その気持ち良く分かります……笑えるはずないですものね……。風香の咳き込む音が、この場の空気を察するよう呼び掛けている気がしてなりません。笑うと負けなのですから……。
見事な采配で無用な緊張を解いてみせた。流石監督……。
「ラリーでは分があるし、ラリーを終わらせる火力も柏手の方が圧倒してる、レシーブを丁寧に繋げていけ! 忘れるな」
監督の檄が飛び、コートへと走る、いよいよだ。
『ピッ!』短い笛でサーブへの笛が鳴る。この笛から8秒以内に打たないとディレイ・イン・サービスの反則となる。黎明高校のサーブで試合開始だ。
唯一、菜々巳の二人が前に残り、四葉、八千、風香がサーブレシーブに備える。エンドライン際で睦美が攻撃態勢。
相手の背番号1番は、速い助走、高くないトスから大きくジャンプしてのスパイクサーブ、強烈だ。サーブの瞬間唯一がアタックライン際に移動して、いつでもクイック攻撃できるようけん制する。イニシャルレスポンスは固さが残る。
「二胡ッ!」
二胡先輩はいつもプレーに差がない。感情に起伏もなく安定感のあるアクションがチームの安心を生む。しかし稀に強力な幸運を呼ぶ、謎のラッキーガール。睦美と並ぶ、柏手高校の重い主砲。
二胡先輩の右、サイドラインとの間、サーブの威力に二胡先輩の一歩目が怯んだのかもしれない、唯一の呼びかけに身体を一震いさせたのも僅に、身体を伸ばす。何とか腕にボールを当てる……上がった。
しかし辛うじて上がったボール、乱されたレシーブ。