黒く真四角な建物に入っていくと
そこには
動物たちがズンッと
落ち込んだ空気で座っていた。
「おいおいおい。
ずっとその調子?
元気なさすぎでしょう。」
ボスは近くにいた亀のオリヴァに
声をかけた。ぽんぽんぽんと甲羅を触れた。
ミドリカメのオリヴァは、
甲羅の中に顔や体を引っ込めて、
クルクルとまるでゲームに出てくるような動きを見せた。
本来やらなければならないことから
逃げている。
何も喋らずにずっと甲羅を回し続けている。
「もしかして、そっちも?
今日、みんな元気ない感じ?」
隣にいた耳の長いうさぎのリアムが
ゴミ箱の上に座って、空き缶を壁に向かって蹴飛ばして戻ってを繰り返し、暇をつぶしていた。
「おいおいおい。
全く、何しにここ来てんのよ。」
ボスはため息をついて、持っていたバックを
大きいテーブルの上に乗せた。
ルークがパタパタとのボスの近くを飛ぶ。
「今日は暑いから、
身が入らないのかもしれないですよ。
ね?みなさん。」
「そうは言ってもなぁ。
やる気なさすぎるの困るって…。
気持ち切り替えて、
新メンバーを紹介するから。
みんな集合して。」
ボスは小高いステージに立ち、
うさぎと亀を集合させた。
だらだらとした動きを見せるうさぎ。
甲羅のぐるぐるの回転を終わらせて、
ポコポコと頭と手足を出して、
颯爽と歩いた。
ボスはアシェルの背中を押して、
亀とうさぎに紹介する。
「はい。今日から
株式会社spoonの社員に
なりました。
狼のアシェルです。
ほら、自己紹介。」
ボスは肩をポンと叩く。
「え、あ、は?社員?
聞いてませんけど?
あー、アシェルです。
よろしくお願いします。」
ルークの拍手が響く。
うさぎは全然興味なさそうに
自分の爪を気にし始めている。
亀は頭をぽりぽりとかいて
お辞儀する。
「よし、テンション高めに
自己紹介できたね。
OK!」
(どこかテンション高めだよ?!
テンションだた下りの
自己紹介じゃねぇか。
何、どういうこと。
俺、この会社の社員になったの?
2人ともめんどくさそうな対応だぞ?
俺、場違いじゃないの?)
何度も首を動かして、
拍手するボスとルークを見る。
「…ミドリカメのオリヴァです…。」
「あ、はぁ。どうも。」
「うさぎのリアム。
ボスに君も拾われた感じ?」
「え……。」
「はいはい。
話は終わってからじっくり
話してね。
人数も増えたことだし、
本格的に活動するよ!!
そうだなぁ、オリヴァとリアムはまだ
何するか決めてなかったよね。
歌わせてはいたけど、
やる気ないみたいだし
この際さ、
楽器演奏とかいいんじゃない?
なぁ、ルーク。
楽器って倉庫にあったっけ。」
「はい。ギターとドラム、ありましたね。
あと、キーボードと。
みなさん、何か興味あるもの
ありませんか?」
パタパタと元気よく飛びながら話すルーク。
「僕、ピアノ、小さい頃から習っていたので
キーボード弾けますよ。」
リアムはぼーっとしながら、
手をあげる。
「俺、太鼓たたけるから
ドラムしますか…。
歌うたうより良いや。
声発しなくていいし。」
オリヴァは、太鼓を希望した。
やりたくないことをやらされて、
やる気も気力を失っていたようだ。
「え、俺……。」
アシェルが話そうとするとボスが
近づいてきた。
「君さ、動画配信してるだろ?
歌も載せたよね。
楽器演奏じゃなくて
歌うたう方いいと思うよ。」
「あ、まぁ。適当にあげてただけですけど、
歌ですか?」
「え?!適当にあげてて、アレ?!
完成度高くない?
ビブラートとかしゃくりとか、
感情のせて歌ってるから
結構、評判良いみたいよ?
再生回数確認してないの?」
歌には全然、熱意がなかったアシェル。
適当にあげて、見てくれればいいなと
思っていた。
まさかの高評価を言われて、
慌てて、マイクロチップのボタンを
透明ディスプレイを起動した。
ボタン押して、
動画の再生回数を確認した。
前見ていた数字より、
かなり上がっていた。
「1000回?!」
アシェルは素直にびっくりした。
嬉しかった。
演技用のネタとしてあげた動画は3回しか
再生されてないにも関わらず、
適当に載せた歌は1週間で
爆あがりしていた。
「すごいじゃん。
カバー曲でも、
伝わるものがあるんだよ。
君はボーカル決定ね。」
「え、と言うことは、
このメンバーで
バンド組むって
ことですか?」
「うん。そうしようかなと思って。
ごめん、言ってなかったけど、
俺、音楽プロデューサーだからさ。
君たちに歌を歌ってもらいたくて
集めたのよ。
でも3人じゃ、役割分担少ないから
もう1人入れるから。
目星は付けているやついるから
もう少し待ってて。
交渉してるんだけど、なかなかイエスと
言ってくれないんだよね。」
「ちょ、ちょっと待ってください。
俺もイエスと言ったわけじゃないっす。」
アシェルはノリノリだったにも関わらず、
気持ちを方向転換させた。
「えー、嘘じゃん。
今、超、ノリノリだったじゃん。
イエスでしょう、完全に。」
「いやっす。」
「壁の修理代、
体で払ってって言ったよね??」
「あ、ボス。
さっき壁の修理代の件について
電話ありましたよ。」
ルークが話に割り込んで言う。
「う、うん。
んで?どうだって?」
「あれ、調査したらしいんですけど
一部分だけ修理って難しくて
ある程度、まっすぐに上から下までの
設計にしないといけないので、
ざっと300万くらいかかるらしいです。
素材代と人件費込みです。」
メガネを装着し、電卓をパチパチ打って、
ルークは答えた。
「300万?!」
「そう、レンガだったから。あれね。」
「さ、この300万どうするのかな??」
ボスはジリジリとアシェルの顔に近づいた。
むむむと下唇を噛んで耐えた。
「……。」
イエスもノーも言えなかった。
しばらく、沈黙が続く。
そこには
動物たちがズンッと
落ち込んだ空気で座っていた。
「おいおいおい。
ずっとその調子?
元気なさすぎでしょう。」
ボスは近くにいた亀のオリヴァに
声をかけた。ぽんぽんぽんと甲羅を触れた。
ミドリカメのオリヴァは、
甲羅の中に顔や体を引っ込めて、
クルクルとまるでゲームに出てくるような動きを見せた。
本来やらなければならないことから
逃げている。
何も喋らずにずっと甲羅を回し続けている。
「もしかして、そっちも?
今日、みんな元気ない感じ?」
隣にいた耳の長いうさぎのリアムが
ゴミ箱の上に座って、空き缶を壁に向かって蹴飛ばして戻ってを繰り返し、暇をつぶしていた。
「おいおいおい。
全く、何しにここ来てんのよ。」
ボスはため息をついて、持っていたバックを
大きいテーブルの上に乗せた。
ルークがパタパタとのボスの近くを飛ぶ。
「今日は暑いから、
身が入らないのかもしれないですよ。
ね?みなさん。」
「そうは言ってもなぁ。
やる気なさすぎるの困るって…。
気持ち切り替えて、
新メンバーを紹介するから。
みんな集合して。」
ボスは小高いステージに立ち、
うさぎと亀を集合させた。
だらだらとした動きを見せるうさぎ。
甲羅のぐるぐるの回転を終わらせて、
ポコポコと頭と手足を出して、
颯爽と歩いた。
ボスはアシェルの背中を押して、
亀とうさぎに紹介する。
「はい。今日から
株式会社spoonの社員に
なりました。
狼のアシェルです。
ほら、自己紹介。」
ボスは肩をポンと叩く。
「え、あ、は?社員?
聞いてませんけど?
あー、アシェルです。
よろしくお願いします。」
ルークの拍手が響く。
うさぎは全然興味なさそうに
自分の爪を気にし始めている。
亀は頭をぽりぽりとかいて
お辞儀する。
「よし、テンション高めに
自己紹介できたね。
OK!」
(どこかテンション高めだよ?!
テンションだた下りの
自己紹介じゃねぇか。
何、どういうこと。
俺、この会社の社員になったの?
2人ともめんどくさそうな対応だぞ?
俺、場違いじゃないの?)
何度も首を動かして、
拍手するボスとルークを見る。
「…ミドリカメのオリヴァです…。」
「あ、はぁ。どうも。」
「うさぎのリアム。
ボスに君も拾われた感じ?」
「え……。」
「はいはい。
話は終わってからじっくり
話してね。
人数も増えたことだし、
本格的に活動するよ!!
そうだなぁ、オリヴァとリアムはまだ
何するか決めてなかったよね。
歌わせてはいたけど、
やる気ないみたいだし
この際さ、
楽器演奏とかいいんじゃない?
なぁ、ルーク。
楽器って倉庫にあったっけ。」
「はい。ギターとドラム、ありましたね。
あと、キーボードと。
みなさん、何か興味あるもの
ありませんか?」
パタパタと元気よく飛びながら話すルーク。
「僕、ピアノ、小さい頃から習っていたので
キーボード弾けますよ。」
リアムはぼーっとしながら、
手をあげる。
「俺、太鼓たたけるから
ドラムしますか…。
歌うたうより良いや。
声発しなくていいし。」
オリヴァは、太鼓を希望した。
やりたくないことをやらされて、
やる気も気力を失っていたようだ。
「え、俺……。」
アシェルが話そうとするとボスが
近づいてきた。
「君さ、動画配信してるだろ?
歌も載せたよね。
楽器演奏じゃなくて
歌うたう方いいと思うよ。」
「あ、まぁ。適当にあげてただけですけど、
歌ですか?」
「え?!適当にあげてて、アレ?!
完成度高くない?
ビブラートとかしゃくりとか、
感情のせて歌ってるから
結構、評判良いみたいよ?
再生回数確認してないの?」
歌には全然、熱意がなかったアシェル。
適当にあげて、見てくれればいいなと
思っていた。
まさかの高評価を言われて、
慌てて、マイクロチップのボタンを
透明ディスプレイを起動した。
ボタン押して、
動画の再生回数を確認した。
前見ていた数字より、
かなり上がっていた。
「1000回?!」
アシェルは素直にびっくりした。
嬉しかった。
演技用のネタとしてあげた動画は3回しか
再生されてないにも関わらず、
適当に載せた歌は1週間で
爆あがりしていた。
「すごいじゃん。
カバー曲でも、
伝わるものがあるんだよ。
君はボーカル決定ね。」
「え、と言うことは、
このメンバーで
バンド組むって
ことですか?」
「うん。そうしようかなと思って。
ごめん、言ってなかったけど、
俺、音楽プロデューサーだからさ。
君たちに歌を歌ってもらいたくて
集めたのよ。
でも3人じゃ、役割分担少ないから
もう1人入れるから。
目星は付けているやついるから
もう少し待ってて。
交渉してるんだけど、なかなかイエスと
言ってくれないんだよね。」
「ちょ、ちょっと待ってください。
俺もイエスと言ったわけじゃないっす。」
アシェルはノリノリだったにも関わらず、
気持ちを方向転換させた。
「えー、嘘じゃん。
今、超、ノリノリだったじゃん。
イエスでしょう、完全に。」
「いやっす。」
「壁の修理代、
体で払ってって言ったよね??」
「あ、ボス。
さっき壁の修理代の件について
電話ありましたよ。」
ルークが話に割り込んで言う。
「う、うん。
んで?どうだって?」
「あれ、調査したらしいんですけど
一部分だけ修理って難しくて
ある程度、まっすぐに上から下までの
設計にしないといけないので、
ざっと300万くらいかかるらしいです。
素材代と人件費込みです。」
メガネを装着し、電卓をパチパチ打って、
ルークは答えた。
「300万?!」
「そう、レンガだったから。あれね。」
「さ、この300万どうするのかな??」
ボスはジリジリとアシェルの顔に近づいた。
むむむと下唇を噛んで耐えた。
「……。」
イエスもノーも言えなかった。
しばらく、沈黙が続く。