カラフルな風船が飛び交う会場の空のには、
飛行機雲が長く遠くの方まで出来ていた。
東の空には、雲の上に浮かぶフロンティアが小さく見えた。
ブレーメンとジョーカーの歌は、それぞれ
大勢の観客が興奮状態で盛り上がっていた。
両者が戦うなんてことは忘れていて、
何よりも楽しんでいた。
持っていた瓶ビールや、
瓶の中に入った炭酸水ジュースを
頭から掛け合ったり、
ペンライトをぐるぐるにまわしたり、
楽しすぎて胴上げをして、
喜んでいるものもいた。
司会者でさえもジャンプして、
マイクもどこへやら。
全ての演奏が終わると、
持っていたタオルや、
クラッカーのリボンテープが
地面に散らかっていて、
お祭りの後のようになり観客たちが
寂しい気持ちになっていた。
「ジョーカーのみなさん、
ブレーメンのみなさん、
ありがとうございました!!
これですべての歌が終わりました。
さて、本日、このロックフェスティバルの
頂点を決める投票を行いたいと思います。
みなさん、心の準備はいいですか?
さぁ!!やりましょう!!
投票開始!!」
巨大なディスプレイ画面に
両者の投票数とグラフが
映し出された。
上下にグラフが動き、
まだまだ結果がわからず、
時間がかかっていた。
それでも、歓声が鳴り止まない。
どっちだどっちだと出演者と観客も
ドキドキがとまらない。
すると、画面の上にカーテンのような
イラストで黒くなり、数字が隠された。
「さぁ!!結果発表です。
優勝者は?!」
ドラムロールが響いて、音が止まった。
【ジョーカー 15000】
【ブレーメン 15000】
「まさかの同じ数字?!
…ということは、これは引き分け
となるんでしょうか。」
司会者の目玉も飛び出るほどの
驚きだった。
「ちょっと、嘘でしょう。」
クレアはびっくりして、
前後ろを振り向いて、現実なのか疑った。
「この数字はありえないよな。」
「なんでこの数字になるんだ?
誰かが操作したんじゃないのか?」
オリヴァとリアムは、
お互いに顔を見て、言い合った。
「俺、ちょっと納得できない。」
アシェルは、ステージから脇にいる司会者
に文句を言いにいこうとした。
もちろん、相手のジョーカーのメンバーも
納得言ってないようで、
ロックが司会者の方に近づいていこう
としたが、怖くなった司会者は
後退りした。
「お待ちなさい!!」
脇の方から階段を登るのは、
ひつじ年配者だった。
「師匠!? どうしてここに?」
ライオンのボス、シルバーが叫ぶ。
「本当ですよ、なんでここに
いらっしゃるんですか。
ステラ師匠!!」
クーンハウンドのジェマンドは、
耳を高くあげて驚いていた。
師匠のステラを見るだけで、
頭が上がらないようだ。
「ボス、師匠ってどういうことですか?」
リアムが近づいて聞く。
「ああ、ステラ師匠は、
俺たちジェマンドと若い頃、
一緒に育ててくれたんだ。
歌手として、
熱心に指導してくれた先生だ。」
「先生なんですか…。」
アシェルは司会者の胸ぐらをつかんでいた手を離した。ロックも近くにいたが、みながいるステージに戻った。
「良いものを見せてもらったよ。
シルバー、ジェマンド。」
「え?どういうことですか?」
「このロックフェスティバルは私の会社で
立ち上げた企画なんだ。
そして、2人の関係性を改めさせるため。
喧嘩、していただろう。
私は、2人の争いを止めたかったんだよ。
全部、我が事務所の俳優さんたちに
一役買ってもらったよ。
出演する他の8組の
バンドメンバーは今回限りに
作られてたもので、
全員演技していたんだよ。
観客もエキストラなんだ。」
「え?! 完成度高すぎませんか?!
歌うますぎるし、ダンスも。
すっごいですね。」
ボスのシルバーは出演者たちを見渡して、
全員がドヤ顔をされていた。
開いた口が塞がらない。
「それは
一体なんでそのようなことを?!」」
ジェマンドは信じられないようだ。
「君たちは、本当に仕事熱心で
ちょっと足りないところを補えば
うまくいくのにけなし合うから
うまくいかないんだよ。
ほら、引き分けなんだから、
これは、ユニットを組んだら、
大成功するんじゃないか?
お互いのメンバーにいいところは
あるんだから。
争うんじゃなくて、同じ事務所で
チャレンジしてみてはどうかな?
なぁ?昔のよしみがあるじゃないか。」
「そ、そうですけど。
これから、戦うって時に…。」
とても複雑な表情をするジェマンド。
シルバーを蹴落とせると企んでいて、
それができないことに悔やんでいた。
「こちらは全然、問題ないですよ。
良い考えですね。
ちょうど、雰囲気も似てるバンド同士
影武者にしてもいいですし、
オセロのように
ブラックとホワイトという
グループ名で活動しても
いいかもしれないですね。
事務所内での売り上げ対決でも
いいのかもしれない。」
ボスのシルバーは
いろんなアイデアが出てきて、
楽しくなってきた。
アシェルたちもノリノリだった。
「ちっ、好きにしろよ。」
ポケットに手をつっこみ、
後ろを振り向いた。
影の方に行って、タバコを取り出した。
「す、すいません!!
こちらは禁煙になっています。」
ラクダの司会者がそっと声をかける。
「あーーー!!」
苛立ちを隠せないジェマンドは、
楽屋に向かって走って行った。
今すぐにタバコを吸いたくなったようだ。
「これで、解決しそうですね。
優勝は形だけですけど、
お披露目しておきますか?
メディアには報告した方がいいかも
しれませんよね。
本物の記者呼んでますから。
すいません、写真撮ってもらえます?」
ステラは脇にいた新聞記者のたぬきを
呼び寄せた。
ブレーメンの5名メンバーと
どこかぎこちない
ジョーカーのメンバーとともに
横に並んで、ジェマンド抜きの写真撮影が
行われた。
ロックフェスティバルの優勝者
ということで
号外新聞が街中に配られた。
良く見るとブレーメンのメンバーは
笑っていたが、ジョーカーのメンバーは
無表情で映っていた。
相反する顔だった。
余りものでも、こんな形で逆転するとは
思っていなかった。
誰に選ばれるか、
どんな上司に会うのか。
生き生きと活かしてくれる
上司に出会うのか。
どんな手を使ってでも手柄を取ると
考える上司の元で動くのか。
考えさせられた出来事だった。
余り者は余り物では全然なかった。
だた、そこに流れる水が
合わなかっただけ。
救ってくれる人がいるだけで自己肯定感は
あがるし、居場所を作ってくれる人に
会うだけでこんなにも違う。
****
数年後、
アシェルは、
黒い建物株式会社SPOONの中にいた。
ガコンガコンと機械が鳴り響く。
未だにスプーン工場は健在だ。
「ルーク、これで合ってるか?」
「はいはい。今行きます。
えっと、大丈夫ですね。
全く、ボスったら、スプーンの他に
レインボーレンゲも作ろうって
言い出すから仕事も増えますよね…。
あ、アシェルさん、
時間大丈夫ですか?」
ルークはブツブツ文句を言いながら、
作業を続ける。
「え、うそ、今何時?」
「今、午前9時半です。
確か、今日のライブって
10時じゃないですか?」
「そうだよ、やばいやばい。
急がなくちゃ。
俺だけこっちの業務ってありえないって。
みんな、もう着いてるかな。」
「連絡しておきますから。
早く衣装に着替えて。
申し訳ない、
本当に経営が下手な社長で。
こっちの作業入れないと
みんなの給料が払えないから。
ね、頑張りましょう。」
「わかってるって。
んじゃ、行ってきます!」
近くのハンガーにかけていた
ジャケットを着込んだ。
会社の横の駐輪場に置いていたバイクに
乗り込んで、ヘルメットをかぶった。
アシェルの移動は、
もっぱら、移動はバイクだった。
株式会社Spoonは、
レインボーのスプーンとレンゲを
作製している。
そして、もう1つの事業は、
アーティスト育成。
ミリオン歌手が所属している。
その名は、ブレーメン。
初期メンバーは、
アシェル(ボーカル・ギター)
クレア(フルート)
オリヴァ(ドラム)
リアム(キーボード)
シルバー(ベース)
そして、
まだランキング圏外で
1曲も売れていないが
もう1組所属している。
そのグループは、
ジョーカー
ロック(ボーカル)
マージェ(キーボード)
タートル(ベースギター)
レオン(エレキギター)
ステラ(ドラム)
この2組を育てている。
ジェマンドは、ロックフェスティバルを
してからというもの姿を消した。
今までの悪事を暴かれて、
居場所が無くなった。
その後
理由はわからないが、いつの間にか
ジェマンドは逮捕されていた。
何か悪いことを裏でやっていたらしいが、
ステラの耳に入っていたが、
他のメンバーには届かなかった。
かなりの高齢だったが、
ジェマンドの代わりにドラムを
叩くことになっていた。
夢見ていたスタジアムの会場で
お客さんを50000人前後を
集客できた。
観客席を360°見渡せるステージに立ち、
アシェルは
この上ない幸せを感じていた。
もちろん、ブレーメンのメンバーも
涙が出るほど嬉しかった。
むしろ、
余りものでよかったかもしれない。
泥臭い場所からの伸び代は半端ない。
心から救われた。
この同じ気持ちを味わったメンバーで
これからも歌を歌い続けるだろう。
大きな声で叫ぶと、空にカラフルな
花火が何発も打ち上がった。
観客席からも黄色い声援が
響き続けていた。
演奏が終わると、
お辞儀をしてすぐに
アシェルは
クレアとしっかりと手を繋いでは、
お姫様抱っこをして、喜んだ。
オリヴァとリアムも両手をあげて
観客にお辞儀をした。
会場の外にまで歓声が聞こえてくる。
綺麗な夜空には
さまざまな角度から
無数に流星が流れていた。
赤い満月が煌々と輝いている。
明日はきっと晴れるだろう。
【 完 】
飛行機雲が長く遠くの方まで出来ていた。
東の空には、雲の上に浮かぶフロンティアが小さく見えた。
ブレーメンとジョーカーの歌は、それぞれ
大勢の観客が興奮状態で盛り上がっていた。
両者が戦うなんてことは忘れていて、
何よりも楽しんでいた。
持っていた瓶ビールや、
瓶の中に入った炭酸水ジュースを
頭から掛け合ったり、
ペンライトをぐるぐるにまわしたり、
楽しすぎて胴上げをして、
喜んでいるものもいた。
司会者でさえもジャンプして、
マイクもどこへやら。
全ての演奏が終わると、
持っていたタオルや、
クラッカーのリボンテープが
地面に散らかっていて、
お祭りの後のようになり観客たちが
寂しい気持ちになっていた。
「ジョーカーのみなさん、
ブレーメンのみなさん、
ありがとうございました!!
これですべての歌が終わりました。
さて、本日、このロックフェスティバルの
頂点を決める投票を行いたいと思います。
みなさん、心の準備はいいですか?
さぁ!!やりましょう!!
投票開始!!」
巨大なディスプレイ画面に
両者の投票数とグラフが
映し出された。
上下にグラフが動き、
まだまだ結果がわからず、
時間がかかっていた。
それでも、歓声が鳴り止まない。
どっちだどっちだと出演者と観客も
ドキドキがとまらない。
すると、画面の上にカーテンのような
イラストで黒くなり、数字が隠された。
「さぁ!!結果発表です。
優勝者は?!」
ドラムロールが響いて、音が止まった。
【ジョーカー 15000】
【ブレーメン 15000】
「まさかの同じ数字?!
…ということは、これは引き分け
となるんでしょうか。」
司会者の目玉も飛び出るほどの
驚きだった。
「ちょっと、嘘でしょう。」
クレアはびっくりして、
前後ろを振り向いて、現実なのか疑った。
「この数字はありえないよな。」
「なんでこの数字になるんだ?
誰かが操作したんじゃないのか?」
オリヴァとリアムは、
お互いに顔を見て、言い合った。
「俺、ちょっと納得できない。」
アシェルは、ステージから脇にいる司会者
に文句を言いにいこうとした。
もちろん、相手のジョーカーのメンバーも
納得言ってないようで、
ロックが司会者の方に近づいていこう
としたが、怖くなった司会者は
後退りした。
「お待ちなさい!!」
脇の方から階段を登るのは、
ひつじ年配者だった。
「師匠!? どうしてここに?」
ライオンのボス、シルバーが叫ぶ。
「本当ですよ、なんでここに
いらっしゃるんですか。
ステラ師匠!!」
クーンハウンドのジェマンドは、
耳を高くあげて驚いていた。
師匠のステラを見るだけで、
頭が上がらないようだ。
「ボス、師匠ってどういうことですか?」
リアムが近づいて聞く。
「ああ、ステラ師匠は、
俺たちジェマンドと若い頃、
一緒に育ててくれたんだ。
歌手として、
熱心に指導してくれた先生だ。」
「先生なんですか…。」
アシェルは司会者の胸ぐらをつかんでいた手を離した。ロックも近くにいたが、みながいるステージに戻った。
「良いものを見せてもらったよ。
シルバー、ジェマンド。」
「え?どういうことですか?」
「このロックフェスティバルは私の会社で
立ち上げた企画なんだ。
そして、2人の関係性を改めさせるため。
喧嘩、していただろう。
私は、2人の争いを止めたかったんだよ。
全部、我が事務所の俳優さんたちに
一役買ってもらったよ。
出演する他の8組の
バンドメンバーは今回限りに
作られてたもので、
全員演技していたんだよ。
観客もエキストラなんだ。」
「え?! 完成度高すぎませんか?!
歌うますぎるし、ダンスも。
すっごいですね。」
ボスのシルバーは出演者たちを見渡して、
全員がドヤ顔をされていた。
開いた口が塞がらない。
「それは
一体なんでそのようなことを?!」」
ジェマンドは信じられないようだ。
「君たちは、本当に仕事熱心で
ちょっと足りないところを補えば
うまくいくのにけなし合うから
うまくいかないんだよ。
ほら、引き分けなんだから、
これは、ユニットを組んだら、
大成功するんじゃないか?
お互いのメンバーにいいところは
あるんだから。
争うんじゃなくて、同じ事務所で
チャレンジしてみてはどうかな?
なぁ?昔のよしみがあるじゃないか。」
「そ、そうですけど。
これから、戦うって時に…。」
とても複雑な表情をするジェマンド。
シルバーを蹴落とせると企んでいて、
それができないことに悔やんでいた。
「こちらは全然、問題ないですよ。
良い考えですね。
ちょうど、雰囲気も似てるバンド同士
影武者にしてもいいですし、
オセロのように
ブラックとホワイトという
グループ名で活動しても
いいかもしれないですね。
事務所内での売り上げ対決でも
いいのかもしれない。」
ボスのシルバーは
いろんなアイデアが出てきて、
楽しくなってきた。
アシェルたちもノリノリだった。
「ちっ、好きにしろよ。」
ポケットに手をつっこみ、
後ろを振り向いた。
影の方に行って、タバコを取り出した。
「す、すいません!!
こちらは禁煙になっています。」
ラクダの司会者がそっと声をかける。
「あーーー!!」
苛立ちを隠せないジェマンドは、
楽屋に向かって走って行った。
今すぐにタバコを吸いたくなったようだ。
「これで、解決しそうですね。
優勝は形だけですけど、
お披露目しておきますか?
メディアには報告した方がいいかも
しれませんよね。
本物の記者呼んでますから。
すいません、写真撮ってもらえます?」
ステラは脇にいた新聞記者のたぬきを
呼び寄せた。
ブレーメンの5名メンバーと
どこかぎこちない
ジョーカーのメンバーとともに
横に並んで、ジェマンド抜きの写真撮影が
行われた。
ロックフェスティバルの優勝者
ということで
号外新聞が街中に配られた。
良く見るとブレーメンのメンバーは
笑っていたが、ジョーカーのメンバーは
無表情で映っていた。
相反する顔だった。
余りものでも、こんな形で逆転するとは
思っていなかった。
誰に選ばれるか、
どんな上司に会うのか。
生き生きと活かしてくれる
上司に出会うのか。
どんな手を使ってでも手柄を取ると
考える上司の元で動くのか。
考えさせられた出来事だった。
余り者は余り物では全然なかった。
だた、そこに流れる水が
合わなかっただけ。
救ってくれる人がいるだけで自己肯定感は
あがるし、居場所を作ってくれる人に
会うだけでこんなにも違う。
****
数年後、
アシェルは、
黒い建物株式会社SPOONの中にいた。
ガコンガコンと機械が鳴り響く。
未だにスプーン工場は健在だ。
「ルーク、これで合ってるか?」
「はいはい。今行きます。
えっと、大丈夫ですね。
全く、ボスったら、スプーンの他に
レインボーレンゲも作ろうって
言い出すから仕事も増えますよね…。
あ、アシェルさん、
時間大丈夫ですか?」
ルークはブツブツ文句を言いながら、
作業を続ける。
「え、うそ、今何時?」
「今、午前9時半です。
確か、今日のライブって
10時じゃないですか?」
「そうだよ、やばいやばい。
急がなくちゃ。
俺だけこっちの業務ってありえないって。
みんな、もう着いてるかな。」
「連絡しておきますから。
早く衣装に着替えて。
申し訳ない、
本当に経営が下手な社長で。
こっちの作業入れないと
みんなの給料が払えないから。
ね、頑張りましょう。」
「わかってるって。
んじゃ、行ってきます!」
近くのハンガーにかけていた
ジャケットを着込んだ。
会社の横の駐輪場に置いていたバイクに
乗り込んで、ヘルメットをかぶった。
アシェルの移動は、
もっぱら、移動はバイクだった。
株式会社Spoonは、
レインボーのスプーンとレンゲを
作製している。
そして、もう1つの事業は、
アーティスト育成。
ミリオン歌手が所属している。
その名は、ブレーメン。
初期メンバーは、
アシェル(ボーカル・ギター)
クレア(フルート)
オリヴァ(ドラム)
リアム(キーボード)
シルバー(ベース)
そして、
まだランキング圏外で
1曲も売れていないが
もう1組所属している。
そのグループは、
ジョーカー
ロック(ボーカル)
マージェ(キーボード)
タートル(ベースギター)
レオン(エレキギター)
ステラ(ドラム)
この2組を育てている。
ジェマンドは、ロックフェスティバルを
してからというもの姿を消した。
今までの悪事を暴かれて、
居場所が無くなった。
その後
理由はわからないが、いつの間にか
ジェマンドは逮捕されていた。
何か悪いことを裏でやっていたらしいが、
ステラの耳に入っていたが、
他のメンバーには届かなかった。
かなりの高齢だったが、
ジェマンドの代わりにドラムを
叩くことになっていた。
夢見ていたスタジアムの会場で
お客さんを50000人前後を
集客できた。
観客席を360°見渡せるステージに立ち、
アシェルは
この上ない幸せを感じていた。
もちろん、ブレーメンのメンバーも
涙が出るほど嬉しかった。
むしろ、
余りものでよかったかもしれない。
泥臭い場所からの伸び代は半端ない。
心から救われた。
この同じ気持ちを味わったメンバーで
これからも歌を歌い続けるだろう。
大きな声で叫ぶと、空にカラフルな
花火が何発も打ち上がった。
観客席からも黄色い声援が
響き続けていた。
演奏が終わると、
お辞儀をしてすぐに
アシェルは
クレアとしっかりと手を繋いでは、
お姫様抱っこをして、喜んだ。
オリヴァとリアムも両手をあげて
観客にお辞儀をした。
会場の外にまで歓声が聞こえてくる。
綺麗な夜空には
さまざまな角度から
無数に流星が流れていた。
赤い満月が煌々と輝いている。
明日はきっと晴れるだろう。
【 完 】