2

遺棄された古代の地下墓地の一角が、魔族の「羅刹娘」シェリーの住み家だった。彼女は一時期に人間の捕虜になって集団暴行されてなぶりものにされ、奇跡的に脱出・生還した経歴の持ち主である。

松明とランプ灯りで照らし出された地下室では、捕らえてきた人間の男が吊されている。舌を噛み切らないように猿ぐつわされ、手足を鎖で固定されている。素っ裸だった。


「きゃはっ! ちいさくなっちゃって、意気地がないんだなあ、男のくせに」


シェリーは軽薄な愉悦の笑顔で、ナイフを巧みに操って虜囚男の急所を玩ぶ。わざと色っぽい挑発的な表情と仕草で、残忍な遊びに耽っている。

やがて男が異常な興奮で生理反応すると、パチパチ手を叩いて無邪気に喜ぶ。


「あはは! 良く出来ました、やっと「男らしくなった」ねっ! こっからが本番だよ、ご褒美あげる!」


次の瞬間、男が呻いた。

ナイフが脇腹に突き立てられ、切り裂いたからだ。

もちろんそれだけでは終わらない。シェリーは目を輝かせて、傷口から細くて小さな手指を差し込み、ねじ込んでいく。こんなときに「女に生まれて、手が小さくて良かったなー」などと思うそうだ。

やられた男は目玉を飛び出させて、猿ぐつわのままに絶叫していた。全身に断末魔の脂汗が滲んで、ショックと苦悶の小便が飛んだ。そして魔術の効果もあってなのか、簡単には死ねず、感覚もおかしかった。


「ほうら! きもちいいでしょ? きもちいいでしょ?」


潜り込ませた手で内蔵を生きたままに玩び、感触と温かさを楽しむ。直腸を優しく握ると大便まで盛大に漏らしてしまうが、足下には大きなたらい桶が置かれていた。前立腺を直に指でくすぐられて、妖しげな感覚が窮迫してきて、とうとう精液まで噴き出させる。


「あーあ、そんなに気持ち良かった? お漏らししちゃって」


シェリーは愉悦と勝利感に酔った顔で、引き抜いた手の血を舐める。魔族にとって人間の血液は酒や蜜のようなものだから。
腹部の穴から膨らみこぼれだした赤黒い腸が、地面のたらいに汚物ととぐろを巻いていく。それでも哀れな男が死ねないのは、拷問者が巧みに致命傷を避けているのと、事前の生命強化魔術が原因だろう。簡単に死んだら、彼女としては面白くないからだ。

思いついたように瀕死の男の猿ぐつわを外してやる。天使のような笑顔を咲かせて言う。


「ねえねえ、あなたはもう助からないけど、可愛がって気持ちの良いやり方で殺してあげようか? お願いしたら、優しくしてあげる」


「お、お願いします! こ、殺して!」


「それだけ? こんな可愛い女の子なのに、それだけ?」


「こ、殺して下さい! あなた様に殺されたいです!」


すると、シェリーは不興そうに、指で男の陰嚢をピンっと弾いた。こんな察しの悪い男は嫌いだった。


「バカ? せっかく「良くしてあげる」って、この私が言っているのに? 可愛がって貰えたら男冥利でしょ?」


男は発狂・絶叫して、気が狂ったようになって「お願いします、どうか可愛がってなぶり殺しにして下さい」と生きも絶え絶えに答えるのだった。

シェリーは片手で男のピクピクしている急所を鷲づかみにし、空いた方の手は自分のスカートの中の濡れた秘部に這わせる。残虐行為しているうちに欲情してきていたらしい。そして頭の中では、エルフでサキュバス騎士のレオのことを考えながら、禁じられた遊びを楽しむのだった。


3

同じ頃、魔族の支配領域にある歓楽街の店の一つでは、魔族の客に特製ラーメンが振る舞われていた。店主はドワーフで、あのレサパン商人ファルコン・チャンの同族の舎弟らしい。


「この店って美味いよねえ、材料って何使ってるの?」


あいにくの隠し味は、魔族の塩漬け肉とケシの実。そして人間などの女性の使用済みパンツも一緒に煮込む(裏ビジネスで中古の女性下着の怪しげな転売などもやっているようで、その売れ残りらしい)。

それだけ無茶苦茶やっても「美味い」評価なのだから、料理人の腕前はたぶん一流なのだろう。