1

旧魔王戦役の終戦時期。

そういうことはあっちこっちであったことだった。魔族利権シンパはどこでも引きずり出され、その事実が判明している限り、慈悲どころか普通の裁判や刑罰すら受けられなかった。

もっと素直に斬首や城壁から突き落としされたり。あっちこっちの神学校や法律学校では、デタラメと無責任の限りを尽くした教授たちを、卒業生や学生たちまでが一緒になってリンチにかけた。

都市の市庁舎や市参事会にも、腐敗議員やスパイした役人の死体が吊された。公園や大通りには晒し首が並べられた。

魔族シンパの一部の女たちは鎖につながれて「強姦自由」でされるがままだったが、そのまま殺されてしまうようなことも多かった。



2
まだ正面から敵として戦争を戦っていたならば、捕虜にして貰える慈悲の可能性があった。

だが、あくまでも欺き騙して、素性も悪意も偽り隠して裏切りに明け暮れたのだから。

そんなもの、仁慈の余地はない。殺すしかない。

降伏も改心も全くない信用出来ない。殺せ。全員殺せ!



3

「おい、今日はどいつからいっとく?」


夕暮れの監獄に、正式な市民や村人たちが押しかける。手に手に武器や凶器を持って、軍事裁判をお手伝いしにきたのだ。

看守と警備兵がファイルを見て、収監中の「賊」の名前や悪行を教えてやる。

そうして、形式的な裁判や控訴すら受けられずに獄中で惨殺された者が多数。もっとも多かったのは、軍や警官隊に自宅を包囲されて一家皆殺しや、逃げ隠れしようとして街頭で見つかって即時に常時開設の処刑法廷に連行・斬首されたり。



4
新聞社やアジテーターなどでデマや情報撹乱・隠蔽を商売にしていた連中については、一般化したポピュラーな作法があった。

まず手の指を全部切り落とし、鼻と耳を削いで片目を抉りとる。それから嘘吐きな舌を大きなペンチで引っこ抜いて、出血死させる。



5

いかに悪人とはいえ、あまり男たちが女に乱暴して面白がるようになっては、風紀としてよろしくない。


「私どもにお任せ下さい。神は誰のことも見捨て給わないのです。それに殿方にあまり獣のような振る舞いをされては、女や子供も哀しくなります」


そこで修道女たちが立ち上がり、村や町の婦人会も協力することになる。

捕縛された魔族シンパの女囚人たちを棍棒でぶちのめし、大きな穴に突き落とすのである。賛美歌を歌いながら上からガソリンをかけて、松明を放り込んでまとめて焼き殺す「火刑」。


「これで、あの呪われた罪深い女たちも、魂が救われたことでしょう。この人たちが人間らしく、人間として刑罰を受けられて、尊厳も守られて良かった!」


そうして女たちは晴れやかな気持ちで賛美歌を歌い、感動のあまり泣き出す者もいた。炎と阿鼻叫喚が立ち上る間中、彼女たちは満ち足りた宗教的な幸福の中で歌い続け、男たちは優しい気持ちで見守っていた。