私たちの色でありたい

ヒューマンドラマ

矢田川いつき/著
私たちの色でありたい
作品番号
1723329
最終更新
2024/05/05
総文字数
16,763
ページ数
1ページ
ステータス
完結
いいね数
8
ランクイン履歴

総合35位(2024/05/12)

ヒューマンドラマ3位(2024/05/12)

ランクイン履歴

総合35位(2024/05/12)

ヒューマンドラマ3位(2024/05/12)


普通って、なに?

みんなとは違う栗色の髪が視界の端をちらつくたびに、私はいつも思っていた。

息苦しかった。生き辛かった。

けれど。

「あたしらは、仲間だよ」

あの日、彼女と出会った日から。
私の毎日は静かに、でも少しずつ着実に、変わっていったんだ。
あらすじ
高校三年生の村重紗織は、生まれつき髪の色が栗色だった。
自分だけが、周囲とは違う。
そんな日々に悩み、息苦しさを感じながら過ごしていた新学期のある日、同じ栗色の瞳を持つ宮本陽菜夏と出会う。
「あたしらは、仲間だよ」
時々授業をサボってマイペースな陽菜夏と過ごす時間は楽しく、心地良く、紗織は充実感を覚えていた。
しかし、受験が近づくにつれて紗織はそんな日々を続けられなくなってしまい……?

この作品のレビュー

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この作品の感想ノート

理不尽なルールに縛られ、苦しみ、悩んでいる姿は、とても等身大で、冒頭で物語の世界に入り込んでいました。
“同じでなければならない”というルールは、改めて見直すべきですね、彼女たちのように悩み、苦しむ人たちは少なくないでしょうから。
そして同じ悩みを抱く紗織と陽菜夏が出会ってからは、青春しているなと思いました。
やっていることは、とても褒められることではないけれど。
でも、その時間が彼女たちを間違いなく救っていて。
大人と子供の狭間にいる彼女たちが、集団の枠からはみ出すのは、小さな抵抗のようにも感じて。
大人になってしまった私は、彼女たちの時間が、関係がずっと続くわけがないと思いながら読んでいたらので、どんな終わり方を迎えるのか、想像しながら読み進めていました。
そしてその終わり方は、想像以上に苦しかったです。
心の拠り所だったから。
絶対的な味方だと思っていたから。
そんな思いに囚われて、未熟な彼女が発した言葉が、本心ではないとわかっていても、言ってしまったら取り返せない。
言葉の悪い力を感じました。
その小さなトゲが抜けたあのラストは最高でした。
堅苦しい檻から抜け出した彼女たちが、いつまでも自由な世界で笑いあっていますように。
素敵な物語を、ありがとうございました!

2024/05/17 16:12

お疲れ様です。
僭越ながら感想を残させて頂きます。

人と違う事、それは望まぬままに手に入れた物だったとしても、他人の目から見てしまえば、関係のないこと。

人と違うという事を、好奇にさらされ、自分自身ですら、自分を異質と捉えてしまい、心を閉ざしてしまう。

人と関わりを持ちたい。自分を遠慮なく披露できる場所を見つけたい。本当に心底にあるそんな人間らしさを隠してしまうほど、人と人との印象というものは、時に醜いものです。

センシティブなテーマながらも、爽やかに、前を向いていく紗織と、一見サバサバしているように見えて、どこまでも澄んだひとみをしている陽菜夏の、互いに必要とし、社会へと大きく強い一歩を踏み出していく姿は、人の在るべき姿を見ているようで、とても心が震えました。

少なからず、人とは違うを持っている私達だからこそ、それを補い合い、認め合い、縁を繋いで行きたいと強く思いました。

素敵なお時間を頂きありがとうございました!
これからもご無理のない範囲での活動、頑張って下さい🍅

2024/05/14 18:41

容姿は目に見えてしまうから、関係のない人にも好き放題言われてしまいそうで、そう考えると二人は本当に生きづらかっただろうな、と思います。
それでも二人がお互いの理解者になり、居場所になれたことがとても幸せな作品でした。
ラストもすごく優しい気持ちになりました。このテーマで爽やかさを残して書けるのがすごすぎます……。
素敵な作品をありがとうございました!!

2024/05/11 15:04

この作品のひとこと感想

すべての感想数:7

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