「あなたたち、双子かしら? 同じ顔がふたつ並んでるから、びっくりしちゃったわ」
彼女と私は口をつぐみ、すぐに苦笑いを浮かべて曖昧に頷いた。
『レンタル自分』の認知度は、世間ではまだ低いようだ。
「絆創膏、ほんとうにありがとうね。こういうのって、声をかけるのも勇気がいるでしょう? これ、よかったら食べてちょうだい」
「え、あっ」
老婦人は戸惑う私たちの手のひらに大きな飴玉を握らせ、その場を後にした。
時計は三時五十九分。いよいよレンタル終了だ。
「つばささん」
向き直った彼女が、私の顔で私を見つめた。それまで見せなかった強い眼差しに気圧される。
「つばささん、言いたいことはありませんか」
「えっ?」
「ありませんか? 自分を見て、自分に言いたくなったことは」
「そんな、急に言われても……」
口ごもると、彼女は私の手を両手で包み込んだ。とたんに距離が縮まる。
「ほら、言ってください。言うのも聞くのも、つばささんだけです。これはつばささんだけの秘密です。遠慮はいりません」
「だから、そんな急に言われても準備が」
「つばささんの。つばささんの言葉でいいんです」
彼女と私は口をつぐみ、すぐに苦笑いを浮かべて曖昧に頷いた。
『レンタル自分』の認知度は、世間ではまだ低いようだ。
「絆創膏、ほんとうにありがとうね。こういうのって、声をかけるのも勇気がいるでしょう? これ、よかったら食べてちょうだい」
「え、あっ」
老婦人は戸惑う私たちの手のひらに大きな飴玉を握らせ、その場を後にした。
時計は三時五十九分。いよいよレンタル終了だ。
「つばささん」
向き直った彼女が、私の顔で私を見つめた。それまで見せなかった強い眼差しに気圧される。
「つばささん、言いたいことはありませんか」
「えっ?」
「ありませんか? 自分を見て、自分に言いたくなったことは」
「そんな、急に言われても……」
口ごもると、彼女は私の手を両手で包み込んだ。とたんに距離が縮まる。
「ほら、言ってください。言うのも聞くのも、つばささんだけです。これはつばささんだけの秘密です。遠慮はいりません」
「だから、そんな急に言われても準備が」
「つばささんの。つばささんの言葉でいいんです」