☆☆☆
罪を犯した罪人は、罰を受けなければならない。
つまりシャーペンを盗んだわたしは罰を受けなければならない――けれど、これはいったいどういう罰だろう。
「小春ちゃん、ほんとうにコーヒーだけでいいの?」
たっぷりの油と砂糖の香り。きゃあきゃあ騒ぐ学生たち。
わたしのテンションとはひどく対照的に、ドーナツショップは賑わっていた。
教室で見せた表情をすっかり消して、何事もなかったように明希がドーナツを頬張るので、わたしもコーヒーに口をつけてみる。コーヒーはいつもよりやけに苦々しく、舌に残った。
「俺のドーナツ、半分食いなよ」
「ううん。いい」
「いつも教室で菓子いっぱい食ってるじゃん。ほら、遠慮すんなよ」
明希はチョコレートのかかったシンプルなドーナツを半分に割った。チョコレートのたっぷりかかった方をわたしにくれたのは、やさしさだろうか。
ちびちびとドーナツをかじると、舌に残っていた苦味が薄れ、口のなかの水分をぜんぶ持っていかれた。ふたたびコーヒーに口をつける。
罪を犯した罪人は、罰を受けなければならない。
つまりシャーペンを盗んだわたしは罰を受けなければならない――けれど、これはいったいどういう罰だろう。
「小春ちゃん、ほんとうにコーヒーだけでいいの?」
たっぷりの油と砂糖の香り。きゃあきゃあ騒ぐ学生たち。
わたしのテンションとはひどく対照的に、ドーナツショップは賑わっていた。
教室で見せた表情をすっかり消して、何事もなかったように明希がドーナツを頬張るので、わたしもコーヒーに口をつけてみる。コーヒーはいつもよりやけに苦々しく、舌に残った。
「俺のドーナツ、半分食いなよ」
「ううん。いい」
「いつも教室で菓子いっぱい食ってるじゃん。ほら、遠慮すんなよ」
明希はチョコレートのかかったシンプルなドーナツを半分に割った。チョコレートのたっぷりかかった方をわたしにくれたのは、やさしさだろうか。
ちびちびとドーナツをかじると、舌に残っていた苦味が薄れ、口のなかの水分をぜんぶ持っていかれた。ふたたびコーヒーに口をつける。