息を切らしてロッカーを開けると、なかにはぽつんと封筒があった。
 封を開ければ、また同じようにロッカーご利用証明書の紙片が入っていた。
 わたしは次のロッカーへと急ぐ。

 明希は。
 明希は、待ち合わせよりずっと早く来て、準備してくれたのだろうか。
 
 鼻先が、つんと痺れる。

 二つ目のロッカーは、駅から歩いてすぐの路地にあった。
 封筒を取り出し、(はや)る指で利用証明書の紙片を出すと、くまぬちゃんの描かれた付箋(ふせん)がついていた。

 ぐにゃぐにゃした吹き出しのなかの文字に、視線を走らせる。

『金がないから次でラスト。ごめん。でも、ちょっとエモいだろ?』

 じゅうぶんだよ。

 胸のうちで呟き、わたしは最後のロッカーへと向かう。

 駅の通路脇にあるロッカー。明希はそこで待っているのだろうか。
 それともロッカーを開けると同時に、どこからか出てくるのだろうか。

 想像をふくらませ、駅へ向かう。
 口元がゆるみ、足早になる。

 だけど、ロッカーの前にいたのは