御子柴くんのまっすぐな瞳が突き刺ささる。
見ていられなくて、思わず目を逸らした。

溶けてしまったアイスはもはやバニラシェイク。
どろどろどろどろ、ゆっくりと流れ出す。

「さっき、御子柴くんは罪悪感とか抱かないでって言ってくれたけど、やっぱりこんなの……よくない。
だからもう……」

「もう?」

「会ったりするのは、もう……」

乳白色のどろどろの液体に砂が混じり、ゆっくりと足元を過ぎていった。

なにやら盛り上がっている金髪集団の歓声を背景に、ちらり、御子柴くんに視線をやる。

御子柴くんは両膝に肘をつき、手のひらにのせた顔を左右に揺らす。
不機嫌そうでも悲愴でもない。
なにやら考え込んでいるような顔。

「うーん……おかしくないですか?」

いつもどおりの調子で返される。
目を丸くするわたしに、御子柴くんは続ける。

「節子さんは好きなことを隠して、友達の振りして好きな人のそばにいる。
俺は節子さんに好きって言ったせいで、いままでみたいに会えない。
なんかこれって、おかしくないですか?
正直者が損をするみたいになってません?」

そう言われると確かにそんな気がしてくる。
ぐうの音も出ない。

両想いでない限り、好きと言ったら関係を断ち切らなきゃいけないのだとしたら、告白とはなんだろう。

想いを口にすることと引き換えに、それまでの関係を失わなければならないのか。