「告白しないと節子さんずっと苦しいままじゃないですか。
それに気持ちいいですよ。好きって言うの」

「きもちいい?」

「はい、めちゃくちゃ気持ちいいです」

「わたしが言ったって、相手は迷惑かもしれないじゃん」

困り顔の芳賀が頭に浮かぶ。
「え……」とか「まじで?」と言われて、「冗談に決まってんじゃん」とピエロになる自分を想像することは、今までに何度もしてきた。
もちろん実行する気なんてないけれど。

わたしは御子柴くんみたいに溢れでてこない。

深くて暗いところで、想いはぐるんぐるんと回っている。
回りすぎて、どろどろになっている。

好きって、こういうものだっただろうか。

「節子さんは俺に好きって言われて迷惑でした?」

「迷惑……じゃないよ」

迷惑どころかうれしかった。
申し訳ないと思いつつ、胸の奥はむずむずと甘くなった。

芳賀を好きなくせに。
御子柴くんの気持ちに応えられないくせに。

ずるい女。

「だったら言ってみたらいいじゃないですか。
それでダメだったら俺のところに来てください。全力で慰めるんで」

「御子柴くんはやさしいね」

「下心ありのやさしさです」