「なんで固まってるんですか」

「だって御子柴くんが……変な、いや、すごいこと言うから」

「素直に思ってることを言っただけですよ」

さくっと言われた。
それが出来なくて悩んでいる人がたくさんいるというのに。

「なんでそんなに素直に言えるの」

「言わないともったいないというか、溢れでちゃうんですよ。気持ちが。
もちろん本気で嫌がられたらやめますけど」

「あふれでる……」

「はい、溢れでます。
節子さんも言ってみたらどうですか」

「なにを」

「片想いの人に好きだって言ってみたらどうですか。
その人の彼女に――節子さんの友達に遠慮してるんですか?」

ぐっと息を呑んだ。
胸がぐるぐると渦巻く。

「わたし、そんなことまで話してた?」

「話してましたよ。俺は遠慮しないでいいと思いますけど。
だってその友達、他の男とくっつきそうなんですよね?」

芳賀の言うとおりだった。
わたしはお酒に強くない。
そこまでペラペラしゃべっていたなんて。