御子柴くんは一人分ほどのスペースを空けて隣に座った。
深呼吸する気配がした。
「――あの、この前は本当にすいませんでした。
ああいうことはもうしません。
だから、せめてメッセージは読んでもらえませんか?
既読つかないと心配なんですよ。
ちゃんと息してんのかな、息苦しくなってないかなって」
あたたかな声だった。
ゆっくりと顔を上げて御子柴くんの方を見ると、やっぱり八重歯を見せて笑いかけてくれた。
「わたしが話したこと、覚えてたの?」
「お互いべろんべろんに酔ってましたけどね。
節子さんが片想いしてる人のそばにいると息苦しいって言ってたのは、ちゃんと覚えてますよ」
「……覚えてないと思ってた」
乾いた声で笑ってみた。
御子柴くんは笑わない。
「好きな人がいるって知ってて、どうにか付け込もうって決めたのは俺なんで。
もし罪悪感とか抱いてたら、そういうのやめてくださいね。
俺が勝手に節子さんを好きになったんですから」
だからってキスしようとしたのは間違ってました、と御子柴くんは笑った。
今度はわたしが笑えない。
深呼吸する気配がした。
「――あの、この前は本当にすいませんでした。
ああいうことはもうしません。
だから、せめてメッセージは読んでもらえませんか?
既読つかないと心配なんですよ。
ちゃんと息してんのかな、息苦しくなってないかなって」
あたたかな声だった。
ゆっくりと顔を上げて御子柴くんの方を見ると、やっぱり八重歯を見せて笑いかけてくれた。
「わたしが話したこと、覚えてたの?」
「お互いべろんべろんに酔ってましたけどね。
節子さんが片想いしてる人のそばにいると息苦しいって言ってたのは、ちゃんと覚えてますよ」
「……覚えてないと思ってた」
乾いた声で笑ってみた。
御子柴くんは笑わない。
「好きな人がいるって知ってて、どうにか付け込もうって決めたのは俺なんで。
もし罪悪感とか抱いてたら、そういうのやめてくださいね。
俺が勝手に節子さんを好きになったんですから」
だからってキスしようとしたのは間違ってました、と御子柴くんは笑った。
今度はわたしが笑えない。