目立つこともなければ、人の上に立って何か自主的な行動ができるわけではない。逆に言えば恥ずかしがり屋で目立つ行為から目を背けてきた。
過去の自分が何かを連想させるのか、ここにきた今でも控えめの性格は相い変わらずのまま。
クラスでも影の存在に近かった。
でも決してやる気がないわけではない。
勉強やスポーツ。
家の家事ですら人一倍頑張ってきたつもりだ。
その分、話せば地味に他人よりも大人びていると思われるのはこの性格も相まってか他人を余計その気にさせていった。
「男子からしたら変に自立した子は嫌いなのかな?」
己の力で生き抜き、幸せな将来を勝ち取る為に日々必死だったせいか、青春とはほど遠い人生を送っていたため頼りになる味方が昔から極端に少なかった。
知らぬ間に人に甘えるという行為に無頓着になっていたらしい。
「いや?むしろ私は好感度上がると思うよ」
「ほんと?」
「もち!変に大人ぶっているとか関係ないわ。その歳からきちんとした将来性が見いだせてるし。そんな子、うちらの周りじゃまずいないもん」
エリは笑ってそう話す。
彼女は紬が入学して最初にできた友達だった。
クラス変わらず、ずっと一緒にいてくれた。
徐々に本来のありのままの性格をさらけ出せたのは彼女が初めてのことだった。
「真吾はただ素直に甘えて欲しかっただけよ。付き合うって、お互いがお互いの信頼性に基づいて成り立つもんだからさ」
なら真吾には信頼されていないと思わせてしまったのではないだろうか。
迷惑をかけないようにと、常に相手の機嫌を伺って無自覚にも行動していた。
彼と一緒にいた時でさえ、変に自分らしく強くいようと必死で。
気づいた時には彼のそんな素直な気持ちを蔑ろにしてしまったのだ。
「迷惑とか我儘とか、恋人ならかけて当たり前だよ。ツムは強く生きすぎたんだと思うな」
「私、どうにも甘えって行為には億劫で…」
昔はこんなんではなかった。
何なら今とは反対に甘えん坊で感情豊かな子だった。
本当は今だって素直になりたいし、もっと甘えてみたい。
でもある事件をきっかけに自分の心は崩れたのだ。
甘えるという感情がトラウマになって消えてった。
どうしたらもっと素直になれるだろうか。
今では出せないこの虚しいほどの感情をいつの日が出すことができたら。
「でも私はツムのその性格好きだよ」
エリは不意に紬へと目を向ければニカリと微笑んだ。
笑った顔がとても無邪気で紬はこの顔が好きだった。
「性格なんて人それぞれだもん。無理して自分を偽らなくて大丈夫。自分のしたいよう生きて自由に頑張れればそれでいいじゃん!」
「エリ…」
「どんなツムでも私は友達として一緒にいたいの。だ・か・ら!ツムはそんなに重く自分ばっか追い詰めず。アイツはもう過去の男なんだし、ツムは今まで通り頑張っていけばいいのよ!」
「うん、そうだね。ありがとうエリ」
その言葉で紬は今日、何度目かの安心感を覚えた。
無理して変える必要はない、か。
そうだ、エリのように本来の私を慕って評価してくれる人もいる。
ならば自分のしたいようこれからも頑張っていけばいい。
無理に偽りの虚勢を張らずとも自分を認めてくれる人にいつか出会って幸せになれれば。
「あ、タカちゃんから連絡だ!」
突如、隣からはスマホの通知音が鳴り響けば嬉しそうなエリの声が聞こえてきた。
何やらスマホ画面をみつめればニコニコと微笑んでいる。
「タカちゃん?」
初めて聞いたその言葉に紬は目を丸くした。
「あ、ツムにはまだ言ってなかったか」
エリはどこかソワソワとし始めるので紬は不思議に思った。
「もしかして彼氏?」
「ん…ちょっと違うかな。実はさ、ツムにはずっと話さなくちゃいけないと思ってたんだよね」
エリは歩みを止めると言いずらそうにしていた。
「…どうしたの?」
「うん、あのね…実は私、妖の伴侶がいるんだ」
過去の自分が何かを連想させるのか、ここにきた今でも控えめの性格は相い変わらずのまま。
クラスでも影の存在に近かった。
でも決してやる気がないわけではない。
勉強やスポーツ。
家の家事ですら人一倍頑張ってきたつもりだ。
その分、話せば地味に他人よりも大人びていると思われるのはこの性格も相まってか他人を余計その気にさせていった。
「男子からしたら変に自立した子は嫌いなのかな?」
己の力で生き抜き、幸せな将来を勝ち取る為に日々必死だったせいか、青春とはほど遠い人生を送っていたため頼りになる味方が昔から極端に少なかった。
知らぬ間に人に甘えるという行為に無頓着になっていたらしい。
「いや?むしろ私は好感度上がると思うよ」
「ほんと?」
「もち!変に大人ぶっているとか関係ないわ。その歳からきちんとした将来性が見いだせてるし。そんな子、うちらの周りじゃまずいないもん」
エリは笑ってそう話す。
彼女は紬が入学して最初にできた友達だった。
クラス変わらず、ずっと一緒にいてくれた。
徐々に本来のありのままの性格をさらけ出せたのは彼女が初めてのことだった。
「真吾はただ素直に甘えて欲しかっただけよ。付き合うって、お互いがお互いの信頼性に基づいて成り立つもんだからさ」
なら真吾には信頼されていないと思わせてしまったのではないだろうか。
迷惑をかけないようにと、常に相手の機嫌を伺って無自覚にも行動していた。
彼と一緒にいた時でさえ、変に自分らしく強くいようと必死で。
気づいた時には彼のそんな素直な気持ちを蔑ろにしてしまったのだ。
「迷惑とか我儘とか、恋人ならかけて当たり前だよ。ツムは強く生きすぎたんだと思うな」
「私、どうにも甘えって行為には億劫で…」
昔はこんなんではなかった。
何なら今とは反対に甘えん坊で感情豊かな子だった。
本当は今だって素直になりたいし、もっと甘えてみたい。
でもある事件をきっかけに自分の心は崩れたのだ。
甘えるという感情がトラウマになって消えてった。
どうしたらもっと素直になれるだろうか。
今では出せないこの虚しいほどの感情をいつの日が出すことができたら。
「でも私はツムのその性格好きだよ」
エリは不意に紬へと目を向ければニカリと微笑んだ。
笑った顔がとても無邪気で紬はこの顔が好きだった。
「性格なんて人それぞれだもん。無理して自分を偽らなくて大丈夫。自分のしたいよう生きて自由に頑張れればそれでいいじゃん!」
「エリ…」
「どんなツムでも私は友達として一緒にいたいの。だ・か・ら!ツムはそんなに重く自分ばっか追い詰めず。アイツはもう過去の男なんだし、ツムは今まで通り頑張っていけばいいのよ!」
「うん、そうだね。ありがとうエリ」
その言葉で紬は今日、何度目かの安心感を覚えた。
無理して変える必要はない、か。
そうだ、エリのように本来の私を慕って評価してくれる人もいる。
ならば自分のしたいようこれからも頑張っていけばいい。
無理に偽りの虚勢を張らずとも自分を認めてくれる人にいつか出会って幸せになれれば。
「あ、タカちゃんから連絡だ!」
突如、隣からはスマホの通知音が鳴り響けば嬉しそうなエリの声が聞こえてきた。
何やらスマホ画面をみつめればニコニコと微笑んでいる。
「タカちゃん?」
初めて聞いたその言葉に紬は目を丸くした。
「あ、ツムにはまだ言ってなかったか」
エリはどこかソワソワとし始めるので紬は不思議に思った。
「もしかして彼氏?」
「ん…ちょっと違うかな。実はさ、ツムにはずっと話さなくちゃいけないと思ってたんだよね」
エリは歩みを止めると言いずらそうにしていた。
「…どうしたの?」
「うん、あのね…実は私、妖の伴侶がいるんだ」