「だめ!やっぱ我慢できないわ。ツム、今からでも決して遅くはない。アンタの代わりにここは私がガツンと一発!!」
エリは鼻息を荒くさせると再び椅子から立ち上がろうとする。これに焦ったのは私だ。
「ステイステイ!穏便に、ね?穏便に!!」
「いーや!今回ばかりは納得いかないわよ!大切な親友傷つけておきながら、自分は女とイチャラブ生活送ろうだなんてこと、このエリ様が許さないわよ??」
そんなエリを私はまあまあと落ち着かせた。
「その気持ちだけで十分、ありがとエリ。ホントに私はいい友達に恵まれたよ」
「も~!ツムは優しすぎ!!仮にも彼氏に裏切られたんだよ?」
「…分かってる。でも真吾が決めたことだよ。それに相手が妖じゃ、流石に勝ち目ないよ」
私は廊下で集まる集団をボーっと見つめた。
彼も塾に通っているとあってか、最近では一緒に勉強することもなくなった。そうすると必然と会う機会も減って連絡する回数もめっきり少なくなった。
やはりその頃から伴侶の子に思いが傾いていたのだろうか。
「真吾には繋ぎとしての役目が与えられたんだから。なら彼を思えばこそ、その子との幸せを考えてあげるべきなんだよ」
「ツムは悔しくないの?どこぞの女に真吾奪われちゃって」
「うーん…まあ悔しくないと言えば噓になる。でもこればっかりは仕方ないよ、彼も乗り気だし」
「は??何それ、初耳なんですけど⁈その女、色目でも使ったの?」
「はは、それは流石にないと思うな。彼の言うことには大人しい性格のようだから」
真吾は学校でも学年問わず女子達によくもてる。
優男という雰囲気で怒ることも滅多になく、誰にでも優しいし。加えて名家の出で、文武両道であって先生からの評価も高い。本人は目立つのを極力嫌うものの、放たれるオーラから自然に人が集まる気質なのだ。
当然、人気も出るわけで…
そんな中、周りを差し置いて自分を選んでくれたのは嬉しかった。
まあ結果的には伴侶の座を選んで振られた訳だが。
でも優しい彼のことだ。
相手の妖もきっといい子なのだろう。
「振られたのはショックだけど、彼が良い人と幸せになってくれんならそれでいいよ」
「全くツムは。いつもながらお人好しさに磨きがかかっているわよ」
「えへへ、そうかな?」
「ツムはもっと我儘言ってもいいと思うけど」
二人は準備が整うと教室を出た。
途中、真吾と目が合い気まずくなるも、彼は何事もなかったかのようにして行ってしまった。
「は?何よあの態度⁈ありえないんだけど!!」
その様子を横で見ていたエリが怒ったように彼の方を睨みつけていた。
「まあまあ、もう終わった関係なんだし大目に見よ?」
校舎を出れば外はもうすっかり暗くなっていた。
雪もチラチラと降り始めている。
「でも今思えば、私にも原因はあったのかもね」
「どうして?ツムは何も悪くないよ」
エリはそう言ってくれるけれど…
でも自分には引っかかることがあった。
髪はロングよりショート。
可愛いよりカッコイイ。
ピンクよりブラック。
スカートよりズボン。
学校でもスカートではなくスラックスを履いて過ごしている。そんな自分は時に可愛げがなく男勝りであると批難されることもあった。
「真吾がね、自分は守られるより守りたい子が好きだって去り際に言ったの」
頼られるのは好きだ。
それが誰かの助けになるというのなら。
でも逆を言えば頼ることにかけている。
「頼られることはあっても頼ることが億劫で、いつも虚勢張っちゃうから。そんな素直になれない自分に愛想つかしたんじゃないかって」
自分の生まれもつ性質も考え方も。
いい所があれば悪い所も浮き彫りだ。
周りとは少し違っていて変に思われる時だってあるだろう。
「まあ男って変にプライド高いとこあるからね」
エリも彼に対して何か思うことがあるのか顔をウンザリさせていた。
「男は守ってなんぼの生き物だし本能的にも支配欲求強いからさ。好きな人、ましては彼女ともなればそういった気持ちも格段に高まるってもんよ」
「アイツもそうしたかったのかもね」と言うエリに、私は今までの行動を振り返ってみた。
エリは鼻息を荒くさせると再び椅子から立ち上がろうとする。これに焦ったのは私だ。
「ステイステイ!穏便に、ね?穏便に!!」
「いーや!今回ばかりは納得いかないわよ!大切な親友傷つけておきながら、自分は女とイチャラブ生活送ろうだなんてこと、このエリ様が許さないわよ??」
そんなエリを私はまあまあと落ち着かせた。
「その気持ちだけで十分、ありがとエリ。ホントに私はいい友達に恵まれたよ」
「も~!ツムは優しすぎ!!仮にも彼氏に裏切られたんだよ?」
「…分かってる。でも真吾が決めたことだよ。それに相手が妖じゃ、流石に勝ち目ないよ」
私は廊下で集まる集団をボーっと見つめた。
彼も塾に通っているとあってか、最近では一緒に勉強することもなくなった。そうすると必然と会う機会も減って連絡する回数もめっきり少なくなった。
やはりその頃から伴侶の子に思いが傾いていたのだろうか。
「真吾には繋ぎとしての役目が与えられたんだから。なら彼を思えばこそ、その子との幸せを考えてあげるべきなんだよ」
「ツムは悔しくないの?どこぞの女に真吾奪われちゃって」
「うーん…まあ悔しくないと言えば噓になる。でもこればっかりは仕方ないよ、彼も乗り気だし」
「は??何それ、初耳なんですけど⁈その女、色目でも使ったの?」
「はは、それは流石にないと思うな。彼の言うことには大人しい性格のようだから」
真吾は学校でも学年問わず女子達によくもてる。
優男という雰囲気で怒ることも滅多になく、誰にでも優しいし。加えて名家の出で、文武両道であって先生からの評価も高い。本人は目立つのを極力嫌うものの、放たれるオーラから自然に人が集まる気質なのだ。
当然、人気も出るわけで…
そんな中、周りを差し置いて自分を選んでくれたのは嬉しかった。
まあ結果的には伴侶の座を選んで振られた訳だが。
でも優しい彼のことだ。
相手の妖もきっといい子なのだろう。
「振られたのはショックだけど、彼が良い人と幸せになってくれんならそれでいいよ」
「全くツムは。いつもながらお人好しさに磨きがかかっているわよ」
「えへへ、そうかな?」
「ツムはもっと我儘言ってもいいと思うけど」
二人は準備が整うと教室を出た。
途中、真吾と目が合い気まずくなるも、彼は何事もなかったかのようにして行ってしまった。
「は?何よあの態度⁈ありえないんだけど!!」
その様子を横で見ていたエリが怒ったように彼の方を睨みつけていた。
「まあまあ、もう終わった関係なんだし大目に見よ?」
校舎を出れば外はもうすっかり暗くなっていた。
雪もチラチラと降り始めている。
「でも今思えば、私にも原因はあったのかもね」
「どうして?ツムは何も悪くないよ」
エリはそう言ってくれるけれど…
でも自分には引っかかることがあった。
髪はロングよりショート。
可愛いよりカッコイイ。
ピンクよりブラック。
スカートよりズボン。
学校でもスカートではなくスラックスを履いて過ごしている。そんな自分は時に可愛げがなく男勝りであると批難されることもあった。
「真吾がね、自分は守られるより守りたい子が好きだって去り際に言ったの」
頼られるのは好きだ。
それが誰かの助けになるというのなら。
でも逆を言えば頼ることにかけている。
「頼られることはあっても頼ることが億劫で、いつも虚勢張っちゃうから。そんな素直になれない自分に愛想つかしたんじゃないかって」
自分の生まれもつ性質も考え方も。
いい所があれば悪い所も浮き彫りだ。
周りとは少し違っていて変に思われる時だってあるだろう。
「まあ男って変にプライド高いとこあるからね」
エリも彼に対して何か思うことがあるのか顔をウンザリさせていた。
「男は守ってなんぼの生き物だし本能的にも支配欲求強いからさ。好きな人、ましては彼女ともなればそういった気持ちも格段に高まるってもんよ」
「アイツもそうしたかったのかもね」と言うエリに、私は今までの行動を振り返ってみた。