少しして私は、ちょっとお花摘んでくるね、と席を外した。
「澪、最近変わってきたんだよね」
「え?そうなんですか?」
「うん。今日だって、きっと今までの澪だったらまた自分の本音を飲み込んでたと思う。茜くんが変えてくれたのかな」
「いや、そんなわけないじゃないですか。俺何にもやってあげられてねぇし。澪が自分から変わろうとしたんですよ、きっと」
用を済ますと、そんな会話が聞こえてきた。
あんまりこういうのはよくないけど、このまま聞いてみちゃおうかな。
私は耳をすまし、壁越しに聞こえる二人の会話を盗み聞きした。
「そんなことないよ。澪は、茜くんに何度も助けられてるって、言ってたもの」
「え!?そんなの俺もなのに。…澪らしい。お互い様じゃないすか、結局」
お互い様。
その関係が、心地いい。
茜の発する言葉は、太陽のような明るさと、大きな優しさが溶け込んでいる。
「ふふ、そっか。確かに澪らしいなぁ…。茜くん。前は軽く言っちゃったけど、これからも本当に、よろしくお願いします。二人は、お互いがよき理解者になっていると思うんだ。叔母からのお願いです」
何言ってんの、叔母さん…!!
よき理解者、なんてものでもない気がするけれど。
「よき理解者、なんてものでもない気しますけどね」
一瞬、自分が言ってしまったかと思い、びくっと身体が跳ねたが、偶然だとしてもすごいと思った。
「でも、俺は今後も澪と仲良くしたいって思ってるんで、大丈夫ですよ!今のままの関係でいいんです。大人になっても、なんて言って続かないこともあるけど、まじで俺はいくつになってもこの関係でいたいから」
そう思ってくれている茜に、私は嬉しさがこみ上げてきた。
この関係でいい。この関係がいい。私もそう思ってたんだよ、茜。
まだ会って何日も経っていないけど、そう感じた。
心の奥のほうがぎゅっとなって、私は早く茜に会いたくなった。
私は、茜の所へ走った。
私の心は、呆れるほどみずみずしく、澄み切っていた。
「茜!私、投稿やめる!」
「…え、はぁ!?急に戻って来て何言い出してんの!?なんか見ちゃまずいものでもあった!?」
そうじゃなくて。
私は。
「茜と私で、投稿しよう!!」
私一人では、やはり力が足りないものだってある。
だから、茜と一緒に、一つのアカウントで投稿すればいいのだ。
真逆な二人だけど、感じることは同じで。
お互いが同じ痛みを感じられるからこそ、もっと強くなれるって。
大丈夫だよ、って、みんなに伝えたいのだ。
きっと仲間は見つかるから、大丈夫だよと。
「えぇ?どうしたんだよ、まじで」
「お願い…!」
私は手を合わせ、茜を見つめた。
戸惑っている顔つきだったが、
「うーん…。でもそんなに言うなら、やってみるかー!」
と言って、ぱっと笑顔になってくれた。
「でも、これまで澪の投稿を見てくれてた人はどうすんの?」
「今月中は投稿を続けるよ。あと一週間しかないけど、それまでに新アカウント開設します、ってお知らせする」
「なんでやめちゃうんだよー、せっかく俺がフォローしたのに」
やめる、というか、進む、だ。
もっと、この症状の人と寄り添い合うことができるように。
もっと、この症状についての理解を広めるために。
理解なんてされなくたっていい。ただ、こういうものがあるって、知ってくれるだけでいい。
「茜が、大人になってもずっとこの関係でいてくれるからだよ」
盗み聞きがばれても、私はその言葉を言いたかった。
「澪、最近変わってきたんだよね」
「え?そうなんですか?」
「うん。今日だって、きっと今までの澪だったらまた自分の本音を飲み込んでたと思う。茜くんが変えてくれたのかな」
「いや、そんなわけないじゃないですか。俺何にもやってあげられてねぇし。澪が自分から変わろうとしたんですよ、きっと」
用を済ますと、そんな会話が聞こえてきた。
あんまりこういうのはよくないけど、このまま聞いてみちゃおうかな。
私は耳をすまし、壁越しに聞こえる二人の会話を盗み聞きした。
「そんなことないよ。澪は、茜くんに何度も助けられてるって、言ってたもの」
「え!?そんなの俺もなのに。…澪らしい。お互い様じゃないすか、結局」
お互い様。
その関係が、心地いい。
茜の発する言葉は、太陽のような明るさと、大きな優しさが溶け込んでいる。
「ふふ、そっか。確かに澪らしいなぁ…。茜くん。前は軽く言っちゃったけど、これからも本当に、よろしくお願いします。二人は、お互いがよき理解者になっていると思うんだ。叔母からのお願いです」
何言ってんの、叔母さん…!!
よき理解者、なんてものでもない気がするけれど。
「よき理解者、なんてものでもない気しますけどね」
一瞬、自分が言ってしまったかと思い、びくっと身体が跳ねたが、偶然だとしてもすごいと思った。
「でも、俺は今後も澪と仲良くしたいって思ってるんで、大丈夫ですよ!今のままの関係でいいんです。大人になっても、なんて言って続かないこともあるけど、まじで俺はいくつになってもこの関係でいたいから」
そう思ってくれている茜に、私は嬉しさがこみ上げてきた。
この関係でいい。この関係がいい。私もそう思ってたんだよ、茜。
まだ会って何日も経っていないけど、そう感じた。
心の奥のほうがぎゅっとなって、私は早く茜に会いたくなった。
私は、茜の所へ走った。
私の心は、呆れるほどみずみずしく、澄み切っていた。
「茜!私、投稿やめる!」
「…え、はぁ!?急に戻って来て何言い出してんの!?なんか見ちゃまずいものでもあった!?」
そうじゃなくて。
私は。
「茜と私で、投稿しよう!!」
私一人では、やはり力が足りないものだってある。
だから、茜と一緒に、一つのアカウントで投稿すればいいのだ。
真逆な二人だけど、感じることは同じで。
お互いが同じ痛みを感じられるからこそ、もっと強くなれるって。
大丈夫だよ、って、みんなに伝えたいのだ。
きっと仲間は見つかるから、大丈夫だよと。
「えぇ?どうしたんだよ、まじで」
「お願い…!」
私は手を合わせ、茜を見つめた。
戸惑っている顔つきだったが、
「うーん…。でもそんなに言うなら、やってみるかー!」
と言って、ぱっと笑顔になってくれた。
「でも、これまで澪の投稿を見てくれてた人はどうすんの?」
「今月中は投稿を続けるよ。あと一週間しかないけど、それまでに新アカウント開設します、ってお知らせする」
「なんでやめちゃうんだよー、せっかく俺がフォローしたのに」
やめる、というか、進む、だ。
もっと、この症状の人と寄り添い合うことができるように。
もっと、この症状についての理解を広めるために。
理解なんてされなくたっていい。ただ、こういうものがあるって、知ってくれるだけでいい。
「茜が、大人になってもずっとこの関係でいてくれるからだよ」
盗み聞きがばれても、私はその言葉を言いたかった。