でも李仁からそんなにじろじろ見られた感じもしなかった気もするが、どこをどう見ていたんだろうと明里は恥ずかしくなる。
「あの頃も緊張しててうぶで可愛かったけど今もさらに可愛いわ。自信をもって、明里ちゃん」
 と再度李仁に送り出される明里だった。

 頑張らなきゃ。今日は本屋めぐりとカフェでお茶をする。夕方には解散。とメールで決めたから何があっても大丈夫だ、と。
「身体の関係はいやだよ。でも李仁さんが大丈夫だって言ってたし……それにこの見た目だから」
 と婚活サイトの高校教師のページを見返す。黒縁眼鏡にのっぺりとした前髪、ビジネスカジュアルを意識したようなよれよれのスーツに浮かない顔。

 メールでは感じもよかった、それにパーティの際も悪目立ちすることもなく、受けごたえもしっかりしてくれたことを思い出す。

 待ち合わせのモールの前。早めに着いた明里だったが高校教師らしき人はいない。
「早すぎたかなぁ」
 緊張して何度も時計を見てしまう。すると
「あのぉ」
 と男の人に声をかけられた。
「はい」
 振り向くと小柄な男性がいた。
「あの、水城さんですか?」
「え、はい……」
 明里にはその男性は見覚えは無い。
「僕です、槻山。高校教師の」
「えっ!?」
 そこにいるのは写真とは別人レベルな男性が立っていたのである。