数日後、ジムにて。
「明里さん、気合が入ってますね」
小林が明里のストレッチを手伝いながらそう声をかける。
「はい、今度デートするの」
「で、デート……」
「まだ今連絡とってて具体的な日にちは決まってないけど早くても互いの予定を合わせるとなると一か月後だけど」
そう。李仁に紹介された高校教師と連絡が取れてぽつぽつと連絡を取り合っているのだ。
「それならさらに頑張らないとね」
「はい!」
「じゃあベンチプレス……あと今度エアロビとピラティス、ウオーキングコースもしよっか」
「が、がんばります! もうお任せでお願いします!」
明里がそう答えると小林は笑った。明里よりも少し年下だがとても専門的できめ細やかな指導をしてくれて明里は彼に任せっきりなのである。
だが明里の心の中に秘めていたことがある。
本当は李仁と付き合いたい。
ということであった。高級マンションに住み、バーを運営し、体のタトゥーという謎の部分はあるのだが美麗でスマートな容姿にきめ細やかな気遣いは明里のタイプそのものであった。
今連絡を取っている高校教師とは雲泥の差だ。たまに李仁とジムが一緒になるし、仕込みの際も一緒にいて土日も時間が会えば李仁の家でご飯を作って食べるのに体に触れられることもない。
自分はまだ魅力はないのだろうか? でも何度もスタイルが良くなったね、肌きれいになったね、かわいい、上手などたくさん褒めてくれている。
あの高校教師よりも李仁さんに心底愛してもらえるようにならないと……きついジムのメニューを明里は増々こなしていくようになった。
結局明里が例の高校教師とデートにこぎつけるまで一か月かかった。どうやら彼は担任と部活動の顧問を掛け持ちしているためなかなか予定を合わせることが出来なかったのである。
だがその待つ時間は明里にとっては苦痛ではなかった。ジムも自炊も続き、もう完璧な状態、と小林にも李仁にも言われた。
自分も数か月前の写真と見比べると歴然の差。姿見の前でポーズをとる明里。
「これで今日のデートも完璧ね」
「は、はい……メールも毎日してて会話には困らないと思います」
「リラックスして、楽しんできてね」
見送られるが明里の心の中がぎゅんとする。本当は李仁と……と思いながらも高校教師とも毎日メールをして少しずつ彼の事を知った。
槻山湊音、34歳。明里よりも年上。今は一人暮らし。国語担当、剣道部顧問。趣味は読書。好きなご飯は和食料理。
明里自身も小説を読むが、読んだ本をほとんど彼は知っていた。だから初デートは本屋さん巡りでもいいのではと李仁から提案された。
「もし最初から身体の関係迫るような男だったらお断りしてもいいわよ」
「えっ……」
「彼、おとなしそうに見えて結構強欲そうだった」
「何回かお会いしたことあったのですか?」
李仁はふふふと笑った。
「あなたも参加した婚活パーティの時彼の様子見ててね、緊張はしつつもご飯のくらいつき方がすごかったのよ。あの食べ方だとかなりの強欲さんよ」
「……強欲!」
「まぁ程よく距離を持って。でもそういう関係から始まるのも悪くはないけどもあなたの場合は危険だから絶対にお酒は飲まないように。お酒を飲む場合は二回目以降からよ」
「は、はい……」
李仁からそういわれると緊張してきた。李仁の方がいいのに高校教師とのデート。李仁の勧めもあってデートするからには失敗したくない。
「すごいです、一回見ただけでそんな分析されるだなんて」
「人間観察が好きなんだもん。明里ちゃんもとてもまじめさんだってわかってたから」
そういえばと明里は婚活パーティで李仁と出会った時を思い出した。
「明里さん、気合が入ってますね」
小林が明里のストレッチを手伝いながらそう声をかける。
「はい、今度デートするの」
「で、デート……」
「まだ今連絡とってて具体的な日にちは決まってないけど早くても互いの予定を合わせるとなると一か月後だけど」
そう。李仁に紹介された高校教師と連絡が取れてぽつぽつと連絡を取り合っているのだ。
「それならさらに頑張らないとね」
「はい!」
「じゃあベンチプレス……あと今度エアロビとピラティス、ウオーキングコースもしよっか」
「が、がんばります! もうお任せでお願いします!」
明里がそう答えると小林は笑った。明里よりも少し年下だがとても専門的できめ細やかな指導をしてくれて明里は彼に任せっきりなのである。
だが明里の心の中に秘めていたことがある。
本当は李仁と付き合いたい。
ということであった。高級マンションに住み、バーを運営し、体のタトゥーという謎の部分はあるのだが美麗でスマートな容姿にきめ細やかな気遣いは明里のタイプそのものであった。
今連絡を取っている高校教師とは雲泥の差だ。たまに李仁とジムが一緒になるし、仕込みの際も一緒にいて土日も時間が会えば李仁の家でご飯を作って食べるのに体に触れられることもない。
自分はまだ魅力はないのだろうか? でも何度もスタイルが良くなったね、肌きれいになったね、かわいい、上手などたくさん褒めてくれている。
あの高校教師よりも李仁さんに心底愛してもらえるようにならないと……きついジムのメニューを明里は増々こなしていくようになった。
結局明里が例の高校教師とデートにこぎつけるまで一か月かかった。どうやら彼は担任と部活動の顧問を掛け持ちしているためなかなか予定を合わせることが出来なかったのである。
だがその待つ時間は明里にとっては苦痛ではなかった。ジムも自炊も続き、もう完璧な状態、と小林にも李仁にも言われた。
自分も数か月前の写真と見比べると歴然の差。姿見の前でポーズをとる明里。
「これで今日のデートも完璧ね」
「は、はい……メールも毎日してて会話には困らないと思います」
「リラックスして、楽しんできてね」
見送られるが明里の心の中がぎゅんとする。本当は李仁と……と思いながらも高校教師とも毎日メールをして少しずつ彼の事を知った。
槻山湊音、34歳。明里よりも年上。今は一人暮らし。国語担当、剣道部顧問。趣味は読書。好きなご飯は和食料理。
明里自身も小説を読むが、読んだ本をほとんど彼は知っていた。だから初デートは本屋さん巡りでもいいのではと李仁から提案された。
「もし最初から身体の関係迫るような男だったらお断りしてもいいわよ」
「えっ……」
「彼、おとなしそうに見えて結構強欲そうだった」
「何回かお会いしたことあったのですか?」
李仁はふふふと笑った。
「あなたも参加した婚活パーティの時彼の様子見ててね、緊張はしつつもご飯のくらいつき方がすごかったのよ。あの食べ方だとかなりの強欲さんよ」
「……強欲!」
「まぁ程よく距離を持って。でもそういう関係から始まるのも悪くはないけどもあなたの場合は危険だから絶対にお酒は飲まないように。お酒を飲む場合は二回目以降からよ」
「は、はい……」
李仁からそういわれると緊張してきた。李仁の方がいいのに高校教師とのデート。李仁の勧めもあってデートするからには失敗したくない。
「すごいです、一回見ただけでそんな分析されるだなんて」
「人間観察が好きなんだもん。明里ちゃんもとてもまじめさんだってわかってたから」
そういえばと明里は婚活パーティで李仁と出会った時を思い出した。