明里はハッと目を覚ました。

 さっきまでバーカウンターで美味しいご飯とお酒を飲んでいたと思っていたのだが……。全く見知らぬ場所、そしてベッドの上。太陽の光がまぶしい。夜だったのに……。

そして自分の今の姿に驚く。

「全裸?!」
 明里はさっとシーツにくるまり今の状態を把握しようとする。見た感じ普通の安っぽいラブホテルではない。
 誰かの家? いったい誰の家だろうか。頭が痛いのはやはり普段飲み慣れないお酒だろう……すこしずつ記憶が戻ってくる。
 そういえばとこないだの高校教師とのワンナイトも一緒にご飯を食べてその時もお酒を飲みすぎ……気づけばラブホテルのベッドの上だったということを思い出す。

「二度あることは三度あるってこのこと? だったら相手は誰なのよ……て……」
 明里は頭に思いついたのは

「李仁さん!」
 そう、彼しかいない。だが彼はいないが……遠くの部屋からいい匂いがしてくる。部屋の中もフレグランスのいい匂いはするが。

「あら、おはよう。起きた?」
 部屋にやってきたのは上半身に白いシャツを纏いジーパンを履いた李仁だった。
 明里は驚く。白いシャツはボタンを締めておらず、肌に彫られている複数のタトゥーに。

「二日酔いしてるんじゃない? お水どうぞ」
「ありがとう……ございます」
 とペットボトルの飲料水を手渡されおそるおそる明里は受け取った。

「安心して。いかがわしいことはしてないから」
 とほほ笑む李仁。どう見ても自分が全裸なのにいかがわしいことはないと良く言えるなと明里は受け取った水を飲み、情報量の多さを少しずつ整理しようとする。

「あ、裸なのはあなたが酔いつぶれて運ぶときに吐いちゃってね」
「寝ゲロ? すいません!」
「いえいえ、あなたの服全部ゲロまみれ」
「お店は? 李仁さんも……?」
「見事に」
「ごめんなさぁい!!!」
 明里は頭を下げる。必死に体を隠しながら。李仁は笑いながらも
「慣れっこだから大丈夫。今洗濯しているから、この服どうぞ」
とワンピースと未開封のキャミソールブラとショーツも用意されている。
「これ……」
「あげるわ。さすがにブラジャーは用意してないけどキャミソールブラならなんとか大丈夫でしょ。お胸がでかいからこのサイズ一番Maxだけど大丈夫?」
 明里はサイズを確認するといつも自分が来ているサイズだったのでうなずいた。しかしなんで李仁の家に新品のワンピースだけでなくブラキャミソールとショーツという女性の下着が常備されているのだろうか。
 なぜに自分がここにいるのか、李仁のタトゥーの件などいろんな疑問を積みつつもシーツの中で着替える。

「何か食べられそう?」
「はい、少しおなかすきました。いいにおいするし」
「朝ごはん用意したから食べてね」
「ありがとうございます」
 着替え終わった明里は李仁についていきダイニングに行った。