明里は店から出て途方もなく歩いていく。自分の性格の悪さはこの数ヶ月間では治らなかった。
 思ったことをたまに溜め込んで急に爆発させて人に迷惑かけることは昔からの癖だった。
 だから友達という友達はできなかった。
 できたとしても陰でいろんなことを言われてる。
 やっぱり自分はダメなんだと。料理が上手くなっても痩せても李仁に褒められても……。

 今回の失敗を李仁に伝えても良いのだろうかと悩んで先にジムに行くことにした。
「気持ちスッキリさせてから李仁さんのところに行こう……」

 しかしジムに行くと……。
「小林コーチはしばらくお休みになりました」
「えっ?!」
「違うコーチでしたらマンツーマンで……」
 フロントの女性にそう言われた明里。動揺する。今まで自分の体を管理してくれた人が休み……。
「その……もしかしたら小林コーチ、退社されるかもしれなくて」
「どうして?」
「その……ここだけの話ですけど、ちょっと社長と運営のことで揉めてて」
 そんなこと知らない……昨日も午前につきっきりでボディメイキングもしてくれたのに? と明里は驚きを隠せない。
 そこに違うコーチがやってきた。

「変わりなんていらないわ、私の体を知ってるのは彼だけですもの。今日は辞めておきます」
 そう言って明里はジムを後にした。