「水城さんって彼氏いるの?」
「いないらしいよ」
「だろうね」
「一回さ、部屋行ったけど汚かったし。退出する時絶対お金取られそう」
「うわ、そんなに汚いの? 顔も汚いし」
「あんな子好きになるのはよほどのブス専だよね」
「なんかさ、婚活パーティーに行くとかウキウキしてたけどさ。そうじゃないと出会いがないなんてねー」
「てかさ、料理まともにしてないらしいよ」
「結婚無理じゃん」
「料理できない女はダメよね」
「それになんかおとなしすぎる割にはけっこう自己主張強いから男はああいう女嫌いよね」
「そうそう、女は男に黙ってついていく……古い考えかもだけどそうしないと可愛がられないのよ。院長もあいつ気が利かないとか言ってたし!」
「彼氏できてもただやって捨てられるだけじゃない?」
「そうそう、前まで付き合ってた彼氏も体目当てだったらしいしー」
「あれ、あんた明里と友達だって言ってたのに……」
「あんなの友達だと思ってないわよ。仕事のミスとか全部あいつのせいにしてるし」
「うわー、最悪っ。まぁ私も一度か二度あいつのせいにしたけどね」
「……私も」
「はははっ! 全部あのブスのせいにしようよー」
「あいつが結婚できないに賭けようよ」
「いや、ヤリステされるのに一票! ははは!」

 これを聞いて明里の心はメラメラ燃えた。残念ながらヤリステされたのは事実だが、仲良くしていた同僚までもが自分を馬鹿にし、挙げ句の果てには女はどうしろこうしろとか……。
 女の敵は女、それを痛感しこの数ヶ月は仕事以外は余計なことを話さなかったのであった。
 しかし隣にいる湊音までもが……。明里はその時に溜まっていた鬱憤が爆発した。