不満に思っているうちに、櫂晴は慣れたように聞き流し、教室を出ていった。
「あーあ、行っちゃった。華梛ってほんといい子だよね?寂しいとかなんないの?ことだったら絶対嫌だけどなぁ」
ぷくうと頬を膨らませ、机に肘をついた琴音。
彼女の言う「いい子」が褒め言葉では無いことは、とうの昔に分かっていた。
私は、琴音のふわふわの髪に軽く触れる。
彼女は、心地よさそうに目を閉じ、口角を緩めた。
「私はさ、夢に必死になって頑張ってる櫂晴を好きになったの。邪魔になるんだったら別れる。それを櫂晴も分かってるから、遠慮なく練習を優先してるの」
「さっすが、華梛かっこいー!」
諭すように言った私に、七星が横から茶化しに入った。
当然それは無視して琴音に視線を落とすと、彼女は目を開き、不満そうに足を揺らしていた。
「前もそんなこと言ってたよね。でも、ほんっとになれるって思ってるの?確率あってないようなもんじゃん」
……本当にこの子は。
可愛い顔をして、平気でそんなことを言い放つ彼女に、何度驚かされたか分からない。
けれどきっと、これは琴音の本心で、妙に現実的な心は、きっと夢物語とは異なる現実を知っているから。
私は、琴音の机の前にしゃがんで、座っている彼女と視線を合わせた。
「琴音の言う通り、現実が甘くないことは分かってるけど……。櫂晴の夢を否定することだけは許さないからね」
「……華梛こわあい」
わざとらしく言った彼女は笑っていた。
その可愛らしい笑顔に、私も表情を緩め、二人で笑い合う。
より一層忙しく本気で練習に励む彼を私は心の底から応援していた。
「あーあ、行っちゃった。華梛ってほんといい子だよね?寂しいとかなんないの?ことだったら絶対嫌だけどなぁ」
ぷくうと頬を膨らませ、机に肘をついた琴音。
彼女の言う「いい子」が褒め言葉では無いことは、とうの昔に分かっていた。
私は、琴音のふわふわの髪に軽く触れる。
彼女は、心地よさそうに目を閉じ、口角を緩めた。
「私はさ、夢に必死になって頑張ってる櫂晴を好きになったの。邪魔になるんだったら別れる。それを櫂晴も分かってるから、遠慮なく練習を優先してるの」
「さっすが、華梛かっこいー!」
諭すように言った私に、七星が横から茶化しに入った。
当然それは無視して琴音に視線を落とすと、彼女は目を開き、不満そうに足を揺らしていた。
「前もそんなこと言ってたよね。でも、ほんっとになれるって思ってるの?確率あってないようなもんじゃん」
……本当にこの子は。
可愛い顔をして、平気でそんなことを言い放つ彼女に、何度驚かされたか分からない。
けれどきっと、これは琴音の本心で、妙に現実的な心は、きっと夢物語とは異なる現実を知っているから。
私は、琴音の机の前にしゃがんで、座っている彼女と視線を合わせた。
「琴音の言う通り、現実が甘くないことは分かってるけど……。櫂晴の夢を否定することだけは許さないからね」
「……華梛こわあい」
わざとらしく言った彼女は笑っていた。
その可愛らしい笑顔に、私も表情を緩め、二人で笑い合う。
より一層忙しく本気で練習に励む彼を私は心の底から応援していた。