⋆*
「お前このままだとまじでどこも受からないぞ?」
頼まれ事で職員室を訪れた私は、担任の席に先着の後ろ姿を見つけ、顔を顰めた。
相楽くんがいる……。話、長いだろうなぁ……。
途端に憂鬱になり、私は足を止めた。
先日、直接会話を交わしたこともあり、なんとなく苦手意識が強まってしまっている。
用が終わるまで待とうか悩んだが、私は意を決して、足を進めることにした。
大丈夫。ノートを提出するだけだし……。
自分に言い聞かせて、重たい足を動かし席へと赴く。
「おお、美雲か。ありがとう」
机に肘をつき頭を抱えていた先生は、パッと表情を明るくさせて私からノートを受け取った。
よし、ミッションクリア。あとは、できるだけ静かに話を引き伸ばさないように。
「いえ、じゃあ失礼します」
隣からの鋭い視線になんて気付く余地もない速度で、私は踵を返す。
「で、とにかく相楽は……」
「あーはいはい。分かったよ、こいつに教えてもらうから。それでいいだろ?」
突然、目の前に出された長い腕に、私はその足を止めることになった。
至近距離から、相変わらずのキツい香水が香る。
慣れない人肌に困惑していた私は、顔を顰めることも忘れ、硬直していた。
夏服に変わり白いシャツから覗いていた程よく筋肉質な腕は、慣れたように優しく私に触れて足止めをする。
程なくしてその腕は、優しさとは裏腹に、少し強引に私の首に巻き付けられた。
反射的に逃れるようにくるりと回ると、自然と先生の方を向き返り肩を組まれる形になる。
「お前このままだとまじでどこも受からないぞ?」
頼まれ事で職員室を訪れた私は、担任の席に先着の後ろ姿を見つけ、顔を顰めた。
相楽くんがいる……。話、長いだろうなぁ……。
途端に憂鬱になり、私は足を止めた。
先日、直接会話を交わしたこともあり、なんとなく苦手意識が強まってしまっている。
用が終わるまで待とうか悩んだが、私は意を決して、足を進めることにした。
大丈夫。ノートを提出するだけだし……。
自分に言い聞かせて、重たい足を動かし席へと赴く。
「おお、美雲か。ありがとう」
机に肘をつき頭を抱えていた先生は、パッと表情を明るくさせて私からノートを受け取った。
よし、ミッションクリア。あとは、できるだけ静かに話を引き伸ばさないように。
「いえ、じゃあ失礼します」
隣からの鋭い視線になんて気付く余地もない速度で、私は踵を返す。
「で、とにかく相楽は……」
「あーはいはい。分かったよ、こいつに教えてもらうから。それでいいだろ?」
突然、目の前に出された長い腕に、私はその足を止めることになった。
至近距離から、相変わらずのキツい香水が香る。
慣れない人肌に困惑していた私は、顔を顰めることも忘れ、硬直していた。
夏服に変わり白いシャツから覗いていた程よく筋肉質な腕は、慣れたように優しく私に触れて足止めをする。
程なくしてその腕は、優しさとは裏腹に、少し強引に私の首に巻き付けられた。
反射的に逃れるようにくるりと回ると、自然と先生の方を向き返り肩を組まれる形になる。