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 その日、人生が変わった気がした。

 もしかしたら、今踏み出した一歩を後悔する日が来るのかもしれない。
 それでも、今日まで燻っていた心が解き放たれ、気分は高揚していた。

 櫂晴に会いたい。
 この気持ちを伝えたい。

 今なら、どこへでも行ける気がした。
 将来が光り輝いて見えていた。

 「華梛、なんか今日嬉しそうだね?」

 浮足立って教室へ入った私を、親友の七星は目敏く察知した。

 「え?普通だよ」

 そう微笑む笑顔がいつもよりずっと、ふにゃふにゃしていることは、何となく自分でも自覚していた。
 それでも抑えられないほどに、私は明るい気持ちだった。

 「これも相楽のおかげ?ほんっと想像できなかったなあ」

 思いがけない台詞が飛び込み、私は大袈裟に七星を見返してしまった。
 その大きな驚きに、彼女は眉を下げて「分かりやす」と笑う。

 「は、え、なんで……!?」

 態度に出していたつもりはなかった。
 私と雨宮くんを成立させたがっていた七星に、思わぬ言葉を掛けられ、私は明らかに動揺する。

 「いーのいーの、華梛が明るいことが一番だから。最近暗かったもんねー、成績も落ちてたし」

 動揺している私は置いてけぼりに、七星は次々と確信に触れた言葉を投げつける。
 途中から、何も説明していなかった私に対する不満をぶつけられていることに気付き、私は彼女に頭を下げた。

 「ごめん、色々あったの、本当に色々」

 謝罪をくみ取った七星は、唇を尖らせるのをやめて笑った。

 「うん、今日のお昼は、屋上ね」
 「……はい」

 満足げに自席へと戻った七星に、私は笑みを零した。