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 彼の陰った表情は、信じられないほど私の頭に焼き付いていた。
 勉強をしていても剥がすことの出来ないその表情に、私は頭を抱える。

 「大丈夫?こんな成績初めてだよね?」
 「あは、自分でもびっくりしてて……」

 そのタイミングで学内の総合テストがあり、返却された答案に泣きそうな気持ちを抑える。
 いつも一桁でキープされる順位は、12位まで落ちていた。

 上位を占めるのは、普段から親しくしている友人ばかり……。
 自動的に私の結果が奮わなかったことはみんなに伝わってしまって、悔しさを耐えるように唇を噛んだ。

 「まぁでもそういうこともあるよね!」
 「今回は私たちが頑張ったってことかな!?」

 明るい声から、気を遣われていることが伝わる。
 その優しい気持ちを受け入れて、笑顔で返したいのだけれど、笑っているのが苦しくてどんどん俯きがちになっていた。

 「なぁ、サボろうぜ?」

 カラッとした声に顔を上げた。
 私の周りでそんなことを言う人は、彼しかいない。
 予想通り、その場に立っていた相楽くんは、ニカッと笑顔を見せた。

 「いや、何言ってんの?」
 「華梛がサボるわけないじゃん」

 私の席の周りにいたみんなも驚いていた。
 サボるだなんて、私には似合わない言葉で。
 私の周りの友人たちにも信じられないはずの言葉だった。

 「そうだよ、行かないよ……」
 「いいから、行くぞ」

 無理に口角を引き上げ視線を逸らす。
 彼は、そんな私の手を引き強引に連れ出した。

 「は?」
 「ちょっと、相楽!!華梛ー!?」

 七星の戸惑いの叫び声を最後に、私は手を引かれるままに教室を後にした。