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 暗い気持ちのまま授業が始まり、集中できなかった私は、空を見上げて雲を描いていた。

 どんよりしてるけど、あっちの雲は薄い。
 帰る頃には晴れるかなあ……。

 授業中に他事をするなんて、優等生で生きてきた私らしかぬ行動だった。

 「美雲」
 「へ……?あ……っ、ごめんなさい!」

 そんな、ごくごく稀なことだったのに、見事先生に見つかってしまい、慣れないことをしてはいけないと猛省する。

 「珍しいな……」

 先生は怒ることも無く驚いていた。
 それこそ、後ろの席の彼らが他事をしている時は、「出ていけ!」とでも言わんばかりに怒るのに。

 それでも注目を浴びた私は、恥ずかしさから真っ赤になって謝った。
 教室中から、好奇な視線を向けられ、私はしばらく俯くことしか出来なかった。