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 「ねえ、ねーえってば」
 「誘われたから行っただけだって」

 次の日は、七星がとにかくうるさかった。

 「そんな訳ないじゃん!そもそも華梛のこと誘うわけないし、華梛も行くわけないじゃん!ねえ何があったの!?」

 彼女の言いたいことは分かる。それほど、昨日の出来事は不自然かつ有り得ない出来事だった。

 ただそれは、残念ながら私にもうまく説明することはできない。

 「おっ、華梛おはよ〜!」
 「やっほー!」
 「お、おはよう」

 今までは目も合わせなかったクラスメイトが親しげに通っていくのは、七星ではなくても異様な光景だった。
 引き攣り笑いで返すも、それがデフォルトだと昨日理解した彼女たちは気にしない様子で通り過ぎていく。

 じーっと不満げにこちらを見つめる七星からは目を逸らし、私は誤魔化すことに必死だった。

 「美雲、塾の課題やった?」

 七星と話していると雨宮くんがやってきた。
 普段と変わらない様子で現れた彼は、今の私には救いだった。

 「あ、そうだ。今回難しかったんだよね」

 これは助かった、と言わんばかりに食いついて見上げると、雨宮くんは見透かしたようににこりと優しく笑った。

 今年から通うことになった塾は、雨宮くんと同じで、課題が分からない時はこうして交流できる。
 この景色は、周りから見ても自然なもので少しざわついていた教室はすぐに通常通りに戻った。

 「そうなんだよ、放課後やってかない?」
 「うん、是非。聞きたいところいっぱいある」

 穏やかに笑い合う私たちを、先程とは表情をころっと変えた七星が、肘をついて交互に見つめていた。
 その視線の熱さに、雨宮くんが気付いて首を傾げる。