⋆*
「少し歩こう」
楽久くんの提案で、私たちは街へ出た。
今朝の天気予報で伝えた通り、外はポツポツと雨が降っていた。
持ってきていた傘を開く。
同時に両隣からもバサッと傘を開く音が聞こえて、私は目を丸くした。
今朝は晴れてたのに、二人とも傘持参……?
そんな私に、含みのある笑みを向けながら先を歩くふたりを、私は慌てて追いかけた。
帽子を目深に被り、さらにパーカーのフードを重ねる櫂晴と、同じく帽子を被りめがねを掛けた楽久くん。
昔から雰囲気のあるふたりだったけど、180cmを超えたふたりは、そんな小さな変装なんて意味をなさないほど輝きを放っていた。
人気商売ではないため普段はありのままで街に出る私も、一応テレビに出演する身ではあるため、彼らと一緒に歩くのはなんだか気が引けた。
少し後ろを遠慮がちに、傘を低くしてついて行く私に櫂晴が気づき、帽子を深くかぶせてくれる。
見えなくなった視界に帽子を少しあげると、もうこちらを見ていない櫂晴と、少し口角を上げて櫂晴を追う楽久くんが見えた。
懐かしい河川敷を通り、足を止めた。
懐かしい。ここで踊る彼の後ろ姿は、今でも鮮明に思い出せた。
その隣には、いつも楽久くんがいた。
馬鹿にしながら滞在する彼に、邪魔をするなら帰ってよなんて怒ったこともあった。
だけど、彼が誰よりも櫂晴のことを応援していたのは、あの後思い知ったから。
今思い出すその記憶は、決して切れない二人の繋がりが見える。
少し先で、ふたりも足を止めていた。
黙って河川敷を見下ろす彼らに、きっと同じように思い出を振り返っているんだろうと、温かい気持ちになった。
「少し歩こう」
楽久くんの提案で、私たちは街へ出た。
今朝の天気予報で伝えた通り、外はポツポツと雨が降っていた。
持ってきていた傘を開く。
同時に両隣からもバサッと傘を開く音が聞こえて、私は目を丸くした。
今朝は晴れてたのに、二人とも傘持参……?
そんな私に、含みのある笑みを向けながら先を歩くふたりを、私は慌てて追いかけた。
帽子を目深に被り、さらにパーカーのフードを重ねる櫂晴と、同じく帽子を被りめがねを掛けた楽久くん。
昔から雰囲気のあるふたりだったけど、180cmを超えたふたりは、そんな小さな変装なんて意味をなさないほど輝きを放っていた。
人気商売ではないため普段はありのままで街に出る私も、一応テレビに出演する身ではあるため、彼らと一緒に歩くのはなんだか気が引けた。
少し後ろを遠慮がちに、傘を低くしてついて行く私に櫂晴が気づき、帽子を深くかぶせてくれる。
見えなくなった視界に帽子を少しあげると、もうこちらを見ていない櫂晴と、少し口角を上げて櫂晴を追う楽久くんが見えた。
懐かしい河川敷を通り、足を止めた。
懐かしい。ここで踊る彼の後ろ姿は、今でも鮮明に思い出せた。
その隣には、いつも楽久くんがいた。
馬鹿にしながら滞在する彼に、邪魔をするなら帰ってよなんて怒ったこともあった。
だけど、彼が誰よりも櫂晴のことを応援していたのは、あの後思い知ったから。
今思い出すその記憶は、決して切れない二人の繋がりが見える。
少し先で、ふたりも足を止めていた。
黙って河川敷を見下ろす彼らに、きっと同じように思い出を振り返っているんだろうと、温かい気持ちになった。