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 雨降りの多い人生
 自分では気付いていない雨に
 傘を差すこともできない


 苦しそうに切なそうに歌う声からメロディは始まった。
 悲しげな歌詞を聞き、私は、昔の自分を思い出していた。

 ずっと、自分を見捨てていた。
 やりたいことに目を背けて、このくらいでいいと無理をしない選択をしていた。


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 太陽のような君に出会った
 眩しい光は目の前に虹を作る


 2番は、少し声が軽くなった。音が少しずつ多くなり、曲調は明るく変わっていく。

 関わることなんてないと思っていた彼と出会って新しい世界を知った頃を思い出す。
 その世界は光り輝いていて、ずっと心にあった夢を気付かせるように、照らし出してくれた。


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 土砂降りに降られても
 雷が鳴っても


 Cメロに入る頃には涙が溢れていた。

 大切な友人、楽久くんの事故で、夢を諦めてしまいそうになった櫂晴を見た。
 もう立ち直れないんじゃないかって、本当に不安だった。


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 雨上がりの空に、太陽を。


 ラスサビを終えて、最後の歌詞はそれだった。

 雨が上がった空は、とても綺麗だ。
 夢を叶えた私たちの今は、とても輝いているはずだ。きっと彼も。