⋆*
 7:45

 俺はシャワー後の髪をタオルで拭きながらテレビに目を向けた。
 ニュースにはさほど興味が無いが、音だけ垂れ流しにされていた朝の情報番組を見つめる。

 「本日の天気は、全国的におおむね晴れですが、夕方からは雨が降る地域があるでしょう」

 1番上のボタンまでしっかりと止められた清楚な天気予報士は、楽しそうに天気図を指し、説明をしていた。

 聞きながら、俺は準備を再開する。

 「この地域のお住まいの方は、傘を持って出かけると安心ですね」

 スタジオのゲストと会話をしながらそうオススメする気象予報士。

 「りょーかい」

 その言葉に素直に返事をして、テレビを消し、焼けていたトーストを咥えて家を出た。

 家のすぐ裏で待っていた大型車に乗り込む。

 「おざっす!」

 かなり崩された挨拶を、慣れている車内のメンバーからは、適当に返された。

 「ん?なんで傘?超晴れてんじゃん?」
 「あぁ、夕方降るっつってたんすよ」
 「そーなん?つか車移動だし要らなくね?」
 「今日、懐かしい場所なんすよちょっと歩きたくて」

 含みのある笑みを見せた俺に、車内は首を傾げていた。