一月も中旬。
今日のふーはどこかソワソワしている。
「ふー、落ち着きなよ。なるようにしかならないんだから」
「なっつ達はいいなー。二月に受験だし!」
「たった一ヶ月違いじゃん」
「三人の中で一番最初に受験だよ! プレッシャーだよ!」
そうだ。
明日ふーは、第一志望校の推薦受験日なのだ。
「まぁー、プレッシャーはあるだろうね。でもふーは、頭いいから大丈夫でしょ」
千秋は本を読みながら言った。
「いやいや、本読みながら他人事のように言わないでよ!」
ふーの落ち着きのなさが、さらに増してきた。
そこに川村先生が教室に入ってくる。
「帰りの会するよー」
「はーい」
「……はぁーい」
元気よく返事をした私と千秋とは対象的に、ふーはため息交じりに返事をする。
「冬美、大丈夫だよ! 筆記試験は十分に合格点行くから! あとは面接をきちんとやれば」
何気なく川村先生は、ふーにプレッシャーを与えていた。
もう余計なことを言わないでくれ。
私と千秋の顔は引きつっていた。
ふーの方を見ると、さっきまで川村先生の方を見ていたのに、今のふーは机とおでこがひっついている状態になっていた。
「んじゃー、恒例のエールを! フレー! フレー! ふーゆーみー! それ! フレーフレー冬美! フレーフレー冬美! オォー!!!」
そんな状態にも関わらず、川村先生は応援団のような応援をやり始めた。
私と千秋の顔は、これ以上にない引きつった顔になった。
最後まで盛り上がっていたのは川村先生だけであった。
帰りの会が終わり、川村先生がふーに話し掛けていた。
一緒に帰ることになっていたが、ふーが私と千秋に駆け寄ってきた。
「ちょっと待っててもらえる? なんか、さっき川村先生から言われたんだけど。明日受験だから、校長先生に挨拶してから帰れって言われてさー。ごめんね」
「大丈夫。バスの時間までまだ時間あるし」
「千秋と一緒に玄関で待ってるねー」
「ありがとう! 急いで行ってくるね!」
そう言ってふーは校長室へ走って行った。
私と千秋は玄関へ向かった。
下駄箱の前で靴を履き替えていると、ふーがやってきた。
「頑張ってねーだってさー。ちゃっちゃと挨拶してきたから、終わったよー。帰ろー」
「めちゃ早だったね」
私達はバス停まで向かった。
「明後日は休みだし、ゆっくりしようっと」
ふーは明後日のことを考え始めていた。
「移動時間結構かかるんだし、気をつけて行ってきてね」
「ありがとう、千秋」
「明日言われた連絡事項とかは電話で知らせるよ」
「ありがとう、なっつ」
「んじゃー、また来週」
ふーが家の方向に向かって歩いて行った。
「ファイト、ふー!」
私と千秋が同時にふーに声を掛けた。
「うん、頑張ってくる!」
そして翌日。
私と千秋は普通に授業を受けていた。
でも、やはりふーのことが気がかりだ。
ふーは必ず合格すると分かっていても、隣県に行って受験をしているだけあって心配な気持ちがあった。
それでも私達はふーが元気に帰ってくることをただただ待っていることしかできなかった。
月曜日になり、ふーが登校してきた。
聞くまででもなかった。
ふーは机とおでこをくっつけていた。
「がんばったんだね……」
私と千秋はそう言うしかなかった。
「発表いつ?」
「来月……」
私が聞くと、ふーは机とおでこをくっつけたまま応えた。
その日、私と千秋はふーのことをそっとしてあげた。
私達は信じていた。
絶対合格していると。
私と千秋は、まだ合格確定していないのにふーが合格して喜んで飛び跳ねている姿が目に見えていたのであった。
今日のふーはどこかソワソワしている。
「ふー、落ち着きなよ。なるようにしかならないんだから」
「なっつ達はいいなー。二月に受験だし!」
「たった一ヶ月違いじゃん」
「三人の中で一番最初に受験だよ! プレッシャーだよ!」
そうだ。
明日ふーは、第一志望校の推薦受験日なのだ。
「まぁー、プレッシャーはあるだろうね。でもふーは、頭いいから大丈夫でしょ」
千秋は本を読みながら言った。
「いやいや、本読みながら他人事のように言わないでよ!」
ふーの落ち着きのなさが、さらに増してきた。
そこに川村先生が教室に入ってくる。
「帰りの会するよー」
「はーい」
「……はぁーい」
元気よく返事をした私と千秋とは対象的に、ふーはため息交じりに返事をする。
「冬美、大丈夫だよ! 筆記試験は十分に合格点行くから! あとは面接をきちんとやれば」
何気なく川村先生は、ふーにプレッシャーを与えていた。
もう余計なことを言わないでくれ。
私と千秋の顔は引きつっていた。
ふーの方を見ると、さっきまで川村先生の方を見ていたのに、今のふーは机とおでこがひっついている状態になっていた。
「んじゃー、恒例のエールを! フレー! フレー! ふーゆーみー! それ! フレーフレー冬美! フレーフレー冬美! オォー!!!」
そんな状態にも関わらず、川村先生は応援団のような応援をやり始めた。
私と千秋の顔は、これ以上にない引きつった顔になった。
最後まで盛り上がっていたのは川村先生だけであった。
帰りの会が終わり、川村先生がふーに話し掛けていた。
一緒に帰ることになっていたが、ふーが私と千秋に駆け寄ってきた。
「ちょっと待っててもらえる? なんか、さっき川村先生から言われたんだけど。明日受験だから、校長先生に挨拶してから帰れって言われてさー。ごめんね」
「大丈夫。バスの時間までまだ時間あるし」
「千秋と一緒に玄関で待ってるねー」
「ありがとう! 急いで行ってくるね!」
そう言ってふーは校長室へ走って行った。
私と千秋は玄関へ向かった。
下駄箱の前で靴を履き替えていると、ふーがやってきた。
「頑張ってねーだってさー。ちゃっちゃと挨拶してきたから、終わったよー。帰ろー」
「めちゃ早だったね」
私達はバス停まで向かった。
「明後日は休みだし、ゆっくりしようっと」
ふーは明後日のことを考え始めていた。
「移動時間結構かかるんだし、気をつけて行ってきてね」
「ありがとう、千秋」
「明日言われた連絡事項とかは電話で知らせるよ」
「ありがとう、なっつ」
「んじゃー、また来週」
ふーが家の方向に向かって歩いて行った。
「ファイト、ふー!」
私と千秋が同時にふーに声を掛けた。
「うん、頑張ってくる!」
そして翌日。
私と千秋は普通に授業を受けていた。
でも、やはりふーのことが気がかりだ。
ふーは必ず合格すると分かっていても、隣県に行って受験をしているだけあって心配な気持ちがあった。
それでも私達はふーが元気に帰ってくることをただただ待っていることしかできなかった。
月曜日になり、ふーが登校してきた。
聞くまででもなかった。
ふーは机とおでこをくっつけていた。
「がんばったんだね……」
私と千秋はそう言うしかなかった。
「発表いつ?」
「来月……」
私が聞くと、ふーは机とおでこをくっつけたまま応えた。
その日、私と千秋はふーのことをそっとしてあげた。
私達は信じていた。
絶対合格していると。
私と千秋は、まだ合格確定していないのにふーが合格して喜んで飛び跳ねている姿が目に見えていたのであった。