「この用紙に受験する高校名と学科名を書いて、今週中に提出してねー」
「はーい」
「じゃー解散!」
帰りのホームルームで、進路希望用紙が配布された。
私は、小学校から続けていた和太鼓をやりたくて、和太鼓部がある農業高校に進学することを決めた。
初めは、介護福祉士の勉強ができる高校に行こうか迷っていたが、親から、
「せっかく高校に行くなら、やりたいことがある高校に行け。介護福祉士の勉強なんて専門学校に行って勉強すればいい」
と言われたため、農業高校に進学することを決心した。
家に帰り、早速用紙に記入し、親に確認してもらい、翌日には提出できるように準備した。
翌日、千秋とふーから用紙を書いたか聞かれて二人に見せた。
「隣町の農業高校かー。なっつらしいね」
千秋が用紙を見ながら言う。
「お前こそ、決まったの?」
私がそう言うと、千秋は用紙を見せてくれた。
「凄いじゃん。進学校かー。同じ隣町の高校だね」
「そうそう。通学の電車も途中まで一緒だよ。川村先生が『お前の成績ならここがいい』って推されてさー。終いには『オレの後輩になれ!』って言われたー。兄ちゃんも行った高校だし、別にいいかなって思って決めたー」
「そっかー。卒業してもちょこちょこ会えるねー。ふーは?」
「あたしは……推薦で高専に行くことにした」
ふーは元気のない声で言った。
「高専って県外じゃん!」
「うん……だから、二人とは離れ離れになっちゃう……。でも、どうしても、その学校で最新技術のバイオ研究ができるらしくて。やってみたいって思って。だから、この学校に決めたんだど……」
三人とも黙り込んでしまった。
小学校の頃からずっと一緒だったため、一緒にいるのが当たり前だと思っていた。
見事にバラバラの高校に行くことを決めて、思いを伝えあった今。
自分達の将来のため、いつかはバラバラになってしまう現実を思い知った瞬間であった。
「でもさー!」
ふーが突発的に言い出す。
「あたし達、進む道が違っても永遠の友達だよ!」
「そうだよ! また、テーマパークに行って高級ホテルに泊まって遊ぶんだもんね!」
千秋も続けて言った。
「あと、タイムカプセル、掘りに帰ってこなきゃね!」
私が、そう言うと、二人とも笑顔になってきた。
「三人無事に、第一志望校合格目指そー!」
私は拳を掲げて言うと、
「おー!」
と、千秋とふーが続けて拳を上げる。
受験に向けて三人の気合が入った。
三人とも進路希望用紙を提出し、川村先生からも頑張れと言われた。
いよいよ、受験に向けての取り組みが本格的になる。
「あー! 勉強もそうだけど、面接練習もやんなきゃねー」
「そうだねー」
私とふーが話していると、千秋が考えながら言う。
「うん、受験対策も大事なんだけど……」
「ん? 何?」
私は千秋に聞いた。
「最後の一大イベント、もうすぐじゃん」
「あ! 文化祭……」
「忘れてた」
私は思い出したが、ふーは忘れていたらしい。
「二人とも、しっかりして! 作品作りや劇と歌の練習に、太鼓と郷土芸能の練習。やることはいっぱいあるよ!」
「そうでした……。はぁ。また今年も、放課後や夜もキツキツのスケジュールになるなー」
私は途方に暮れていた。
だって、プラス宿題もあるのだから……。
運動会は体力的な疲労が大きかったが、文化祭は体力的にも時間的にもハードで多忙なものであった。
「はーい」
「じゃー解散!」
帰りのホームルームで、進路希望用紙が配布された。
私は、小学校から続けていた和太鼓をやりたくて、和太鼓部がある農業高校に進学することを決めた。
初めは、介護福祉士の勉強ができる高校に行こうか迷っていたが、親から、
「せっかく高校に行くなら、やりたいことがある高校に行け。介護福祉士の勉強なんて専門学校に行って勉強すればいい」
と言われたため、農業高校に進学することを決心した。
家に帰り、早速用紙に記入し、親に確認してもらい、翌日には提出できるように準備した。
翌日、千秋とふーから用紙を書いたか聞かれて二人に見せた。
「隣町の農業高校かー。なっつらしいね」
千秋が用紙を見ながら言う。
「お前こそ、決まったの?」
私がそう言うと、千秋は用紙を見せてくれた。
「凄いじゃん。進学校かー。同じ隣町の高校だね」
「そうそう。通学の電車も途中まで一緒だよ。川村先生が『お前の成績ならここがいい』って推されてさー。終いには『オレの後輩になれ!』って言われたー。兄ちゃんも行った高校だし、別にいいかなって思って決めたー」
「そっかー。卒業してもちょこちょこ会えるねー。ふーは?」
「あたしは……推薦で高専に行くことにした」
ふーは元気のない声で言った。
「高専って県外じゃん!」
「うん……だから、二人とは離れ離れになっちゃう……。でも、どうしても、その学校で最新技術のバイオ研究ができるらしくて。やってみたいって思って。だから、この学校に決めたんだど……」
三人とも黙り込んでしまった。
小学校の頃からずっと一緒だったため、一緒にいるのが当たり前だと思っていた。
見事にバラバラの高校に行くことを決めて、思いを伝えあった今。
自分達の将来のため、いつかはバラバラになってしまう現実を思い知った瞬間であった。
「でもさー!」
ふーが突発的に言い出す。
「あたし達、進む道が違っても永遠の友達だよ!」
「そうだよ! また、テーマパークに行って高級ホテルに泊まって遊ぶんだもんね!」
千秋も続けて言った。
「あと、タイムカプセル、掘りに帰ってこなきゃね!」
私が、そう言うと、二人とも笑顔になってきた。
「三人無事に、第一志望校合格目指そー!」
私は拳を掲げて言うと、
「おー!」
と、千秋とふーが続けて拳を上げる。
受験に向けて三人の気合が入った。
三人とも進路希望用紙を提出し、川村先生からも頑張れと言われた。
いよいよ、受験に向けての取り組みが本格的になる。
「あー! 勉強もそうだけど、面接練習もやんなきゃねー」
「そうだねー」
私とふーが話していると、千秋が考えながら言う。
「うん、受験対策も大事なんだけど……」
「ん? 何?」
私は千秋に聞いた。
「最後の一大イベント、もうすぐじゃん」
「あ! 文化祭……」
「忘れてた」
私は思い出したが、ふーは忘れていたらしい。
「二人とも、しっかりして! 作品作りや劇と歌の練習に、太鼓と郷土芸能の練習。やることはいっぱいあるよ!」
「そうでした……。はぁ。また今年も、放課後や夜もキツキツのスケジュールになるなー」
私は途方に暮れていた。
だって、プラス宿題もあるのだから……。
運動会は体力的な疲労が大きかったが、文化祭は体力的にも時間的にもハードで多忙なものであった。