「キャンキャン」
「お兄ちゃん、この子の親が魔物に襲われたから助けてだって」
「キャンキャン」
「ここのところ、この辺の魔物を討伐しているのを知っているんだって」
子どものオオカミと言っても、赤ちゃんではなく少し成長している。
この森の事情を何か知っているっぽい。
「この子はフォレストウルフだから、元々この森にいるオオカミですね」
「なら、この森の事を知っているはずじゃ」
「よし、では何人かで向かおう」
ちょうどお昼ごはんも終わったので、そのまま討伐も開始する。
午前中と違い、俺達が森に入っていてリンさん達が馬車の側にいる。
俺は今日は一日森か……
森の中をオオカミの子どもの後を追うと、程なくして十頭程のオオカミの群れが木の陰にいた。
オオカミの子どもとミケが、ボスっぽいオオカミに近づく。
敵意がないとはいえ、ミケも大胆な行動するなあ。
「お兄ちゃん、怪我しているオオカミの治療をしてほしいんだって。後は何かお肉が欲しいって」
「了解、今肉を出すよ」
どうせならと思って、オーク肉を出してやったら喜んで食べてくれた。
その間にルキアさんとホワイトで、怪我したオオカミの治療をする。
ネズミがオオカミの治療担当だと、下手したら食べられてしまうのではと思ったのだがそんなことはなくて、オオカミは大人しく治療を受けていた。
「お兄ちゃん、オオカミのボスが感謝するって」
「ミケ、何で俺達に助けを求めたか聞ける?」
「ちょっと待っててね」
オオカミのボスが俺達に感謝するのは何となく分かったけど、何で助けを求めたのだろうか。
「うーんとね、ここ暫く見たことのない魔物が急に増えたんだって。それで対抗していたんだけど、数が多くてやられちゃったんだって」
「やはり急に魔物が増えたんだ」
「魔物の討伐やっている冒険者に気がついて、助けを求めたんだって。大きな白いオオカミがいたから、話が通じるかもって思ったみたい」
成程、このオオカミ達はこの森の生態系の頂点にいたんだ。
それが急な魔物の侵入で不利になったんだな。
そこに俺等がやってきたと。白い大きいオオカミをつれてと。
「この辺に元々いるオオカミと力をあわせれば、時間はかかるけど今の魔物を討伐出来るって」
「確かに魔物の力はそれなりにあるけど、それなりに力があれば倒せなくはないもんな」
「使いを出すから、他のオオカミの治療をしてくれだって」
「オオカミの力が回復出来れば、森の治安も改善するか。暫くは俺達も討伐したほうが良いだろう」
「それにこの辺のオオカミは、街道にいる人は襲わないんだって」
「王都に向かう街道の所のオオカミも、遠くからこちらを見ているだけで手出しはしなかったし。となると、今街道にちょっかい出している魔物は、全て外部からの流入か」
まさかオオカミからここまでの情報が引き出せるとは思わなかった。
こうなったらやることは一つだ。
「ビアンカ殿下、エステル殿下。魔物を討伐しつつ、オオカミを助けましょう」
「うむ。これだけの情報はありがたいし、状況がかなり改善するのじゃ」
「無意味な討伐も減るし良いことだね」
ということでオオカミの救出をメインの魔物討伐を開始する。
ナビゲーターは、俺達のところに来た子オオカミの様だ。
子オオカミの後を追い、オオカミと合流しつつ魔物を討伐する。
闇雲に討伐しなくて良いので、気持ちの面でも楽になった。
ちなみに俺は魔法剣の練習も兼ねてます。
うまく魔力を循環させないと、切れ味が悪くなるんだよな。
結構難しい分、これだけの魔物を相手にするといい練習にもなる。
「お兄ちゃん、今度はあっちだって」
「おう、すぐ行くよ」
オオカミの治療をして肉を出す。
直ぐに次のオオカミの元へ。
ナビゲーターがいるから、道中も安心だ。
と、ここで熊の団体と戦っているオオカミの群れに遭遇。
おお、うまくヒットアンドアウェイをしながら集団で熊を倒している。
確かに、この辺の森の頂点にいる強さはあるなあ。
俺達も熊を倒して、オオカミの治療をする。
大体十の群れを治療した所で、今日は時間の様だ。
「お兄ちゃん、明日も来るよね?」
「ああ、明日もやるぞ」
「今日と同じ所で、明日も待っているって」
「了解」
子オオカミにオーク肉をやって別れる。
いつの間にか、馬車の所まで案内してくれたようだ。
「リンさん、今戻りました」
「サトーさん、お疲れ様です」
「大体十の群れを治療できました。明日も続きを行います」
リンさんの方も色々魔物を討伐して、盗賊も捕まえた様だ。
「あと、こちらにも一組のオオカミが治療にきました」
「え? 誰かオオカミの言葉分かりましたか?」
「タコヤキが通訳してマリリさんが分かりました」
すげー、流石タコヤキLOVEのマリリさん。スライムと意思疎通出来るとは。
「今日はこれで上がりましょう。だいぶ効率も良くなりました」
「やるべきことが明確になったので、やりやすいですね」
ということで、魔物を回収して盗賊をリアカーに乗せて馬車に固定。
門のところで盗賊を引き渡して冒険者ギルドへ。
「リン様、ギルドマスターがお会いしたいと言っております」
「直ぐに向かいます。マルクさん、魔物の売却手続きをお願いします」
「かしこまりました」
ラッキー、オオカミの事をギルドマスターに報告しようと思っていた所だ。渡りに船だな。
ギルドマスターの所へは、俺とリンさんとビアンカ殿下とエステル殿下で向かう事に。
「リン様、急にお呼びする形になり申し訳ありません」
「いや、こちらもお伝えすることがありますのでちょうど良かったです」
ギルドマスターの部屋に案内されると、マスターのノームさんがいた。
案内してくれた受付のお姉さんがお茶を入れて退出した所から、話が始まった。
「先にこちらからの報告をお伝えします。先程テリー様にも伝えてあります。一つは護衛依頼についてになります。実は護衛依頼の多くがダミー商会を通して、最終的にはワース商会にたどり着きました。もちろん偽装行為ですのでワース商会に抗議した所、ピタリと護衛依頼が来なくなりました」
「偽装請負は犯罪ですし、それに何か裏のある物を運んでいた可能性がありますね」
「しかしワース商会ですか。全く不思議ではない結果です」
「はい。これは一部の冒険者からも報告があり、そちらからの情報も大きい手掛かりになりました」
偽装請負は何となくありえるかと思った。
あの依頼掲示板に、ワース商会からの物がなかったのを確認している。
これはワース商会を捜索する手立てに十分なりえる。
「また、窓口の者に冒険者の噂を集めさせた所、このワース商会が絡んでいる依頼を受けた冒険者の内、特に荒っぽい冒険者の姿が見えなくなったとありました」
「これは、もしかして闇ギルド?」
「その可能性があります。新人を手出しできなくなったので、偽装依頼で闇ギルドへの勧誘を行っている可能性があります」
「ほほ、点が徐々に線で繋がってきたのじゃ。もう少し証拠があれば、強制捜査も可能じゃろう」
「テリー様も内偵を強化しております。近日中には動きがありそうです」
ここまでくれば、後は直接の証拠があれば動ける。
問題はどうやって証拠を取るかだな。
この辺はテリー様にお任せしよう。
「ギルドからの報告は以上です」
「ノームさん、非常に助かりました。今度はこちらから報告します。ブルーノ侯爵への街道沿いを主として魔物の討伐をしております。実は元からいたオオカミとコンタクトを取ることができ、魔物は最近になってブルーノ侯爵領からやってきた可能性が高いと思われます」
「この辺りの魔物は、街道にいる分には人を襲うことは少ないのですが、そういう訳だだったのですね」
「ここ暫く討伐した魔物を、一般の冒険者にも討伐して貰えば、街道の治安は良くなると思いますわ」
「対象の魔物はリン様達が討伐した結果で分析可能です。ランクにもよりますが、護衛依頼がなくなった冒険者の救済もできましょう」
「一般の冒険者には十分対応可能かと。ただ、数が多いのでそこには注意ですわ」
「この件は直ぐに動きましょう」
ノームさんも直ぐに動いてくれそうで、少しは街道の治安も良くなりそうだ。
あと少し頑張らないと。
ギルドからお屋敷に帰ってきたら、早速テリー様に呼ばれた。
タラちゃんとかの連絡役のリーフも同席していた。
「サトー殿、やっとやつらの尻尾を掴めそうだ」
「しかしながら、まだ慎重に事を運ばないといけません」
「ああ、十分承知しておる。難民問題といい、街道問題といい、やつらは何をしでかすかわかったもんじゃない」
闇ギルドは何をするかわからない所がある。
下手に突くと暴発する可能性もあるな。
「こちらも慎重に動きます。所で何故にリーフも同席でしょうか?」
「それはリーフ殿から話したほうが良いだろう」
「そうだねー。一つはワース商会が焦り始めているということだねー」
「まあこれだけの事が分かって動けなくなったからね」
「後はあまり良い話じゃないけど、どうもビルゴの仲間がワース商会にいるっぽいよー」
「おいリーフ、それは本当か?」
「変装していたみたいだけど、タラちゃんは誤魔化せなかったようだねー」
これはビックリだ。あのビルゴの仲間がいるとなると、本当に何をしでかすかわかったもんじゃない。
特にビアンカ殿下とリンさんの表情が歪んだのがわかった。
「今、指名手配犯の可能性のある人物がワース商会にいるかは分からない。だが、既にワース商会と闇ギルドは繋がっていると思って良いだろう」
「今は間接証拠だけで、直接証拠はないのが歯がゆいですね」
「ああ、だが直接証拠が取れ次第直ぐに乗り込む。この騒ぎの代償は、何倍にも返してやらないと」
うわー、テリー様の顔が激怒モードで背後には炎が見えるよ。
娘のリンさんもあまりの激怒にビックリしている。
本当に色々あったから、よっぽど頭にきているんだろうな。
今日は早めに休んで、明日に備えることにした。
ちなみにサーシャさんはこの雰囲気を読んでくれたのか、今日のファッションショーは中止となった。
なら、昨日の俺の採寸も中止にしてほしかったなあ。
「お兄ちゃん、この子の親が魔物に襲われたから助けてだって」
「キャンキャン」
「ここのところ、この辺の魔物を討伐しているのを知っているんだって」
子どものオオカミと言っても、赤ちゃんではなく少し成長している。
この森の事情を何か知っているっぽい。
「この子はフォレストウルフだから、元々この森にいるオオカミですね」
「なら、この森の事を知っているはずじゃ」
「よし、では何人かで向かおう」
ちょうどお昼ごはんも終わったので、そのまま討伐も開始する。
午前中と違い、俺達が森に入っていてリンさん達が馬車の側にいる。
俺は今日は一日森か……
森の中をオオカミの子どもの後を追うと、程なくして十頭程のオオカミの群れが木の陰にいた。
オオカミの子どもとミケが、ボスっぽいオオカミに近づく。
敵意がないとはいえ、ミケも大胆な行動するなあ。
「お兄ちゃん、怪我しているオオカミの治療をしてほしいんだって。後は何かお肉が欲しいって」
「了解、今肉を出すよ」
どうせならと思って、オーク肉を出してやったら喜んで食べてくれた。
その間にルキアさんとホワイトで、怪我したオオカミの治療をする。
ネズミがオオカミの治療担当だと、下手したら食べられてしまうのではと思ったのだがそんなことはなくて、オオカミは大人しく治療を受けていた。
「お兄ちゃん、オオカミのボスが感謝するって」
「ミケ、何で俺達に助けを求めたか聞ける?」
「ちょっと待っててね」
オオカミのボスが俺達に感謝するのは何となく分かったけど、何で助けを求めたのだろうか。
「うーんとね、ここ暫く見たことのない魔物が急に増えたんだって。それで対抗していたんだけど、数が多くてやられちゃったんだって」
「やはり急に魔物が増えたんだ」
「魔物の討伐やっている冒険者に気がついて、助けを求めたんだって。大きな白いオオカミがいたから、話が通じるかもって思ったみたい」
成程、このオオカミ達はこの森の生態系の頂点にいたんだ。
それが急な魔物の侵入で不利になったんだな。
そこに俺等がやってきたと。白い大きいオオカミをつれてと。
「この辺に元々いるオオカミと力をあわせれば、時間はかかるけど今の魔物を討伐出来るって」
「確かに魔物の力はそれなりにあるけど、それなりに力があれば倒せなくはないもんな」
「使いを出すから、他のオオカミの治療をしてくれだって」
「オオカミの力が回復出来れば、森の治安も改善するか。暫くは俺達も討伐したほうが良いだろう」
「それにこの辺のオオカミは、街道にいる人は襲わないんだって」
「王都に向かう街道の所のオオカミも、遠くからこちらを見ているだけで手出しはしなかったし。となると、今街道にちょっかい出している魔物は、全て外部からの流入か」
まさかオオカミからここまでの情報が引き出せるとは思わなかった。
こうなったらやることは一つだ。
「ビアンカ殿下、エステル殿下。魔物を討伐しつつ、オオカミを助けましょう」
「うむ。これだけの情報はありがたいし、状況がかなり改善するのじゃ」
「無意味な討伐も減るし良いことだね」
ということでオオカミの救出をメインの魔物討伐を開始する。
ナビゲーターは、俺達のところに来た子オオカミの様だ。
子オオカミの後を追い、オオカミと合流しつつ魔物を討伐する。
闇雲に討伐しなくて良いので、気持ちの面でも楽になった。
ちなみに俺は魔法剣の練習も兼ねてます。
うまく魔力を循環させないと、切れ味が悪くなるんだよな。
結構難しい分、これだけの魔物を相手にするといい練習にもなる。
「お兄ちゃん、今度はあっちだって」
「おう、すぐ行くよ」
オオカミの治療をして肉を出す。
直ぐに次のオオカミの元へ。
ナビゲーターがいるから、道中も安心だ。
と、ここで熊の団体と戦っているオオカミの群れに遭遇。
おお、うまくヒットアンドアウェイをしながら集団で熊を倒している。
確かに、この辺の森の頂点にいる強さはあるなあ。
俺達も熊を倒して、オオカミの治療をする。
大体十の群れを治療した所で、今日は時間の様だ。
「お兄ちゃん、明日も来るよね?」
「ああ、明日もやるぞ」
「今日と同じ所で、明日も待っているって」
「了解」
子オオカミにオーク肉をやって別れる。
いつの間にか、馬車の所まで案内してくれたようだ。
「リンさん、今戻りました」
「サトーさん、お疲れ様です」
「大体十の群れを治療できました。明日も続きを行います」
リンさんの方も色々魔物を討伐して、盗賊も捕まえた様だ。
「あと、こちらにも一組のオオカミが治療にきました」
「え? 誰かオオカミの言葉分かりましたか?」
「タコヤキが通訳してマリリさんが分かりました」
すげー、流石タコヤキLOVEのマリリさん。スライムと意思疎通出来るとは。
「今日はこれで上がりましょう。だいぶ効率も良くなりました」
「やるべきことが明確になったので、やりやすいですね」
ということで、魔物を回収して盗賊をリアカーに乗せて馬車に固定。
門のところで盗賊を引き渡して冒険者ギルドへ。
「リン様、ギルドマスターがお会いしたいと言っております」
「直ぐに向かいます。マルクさん、魔物の売却手続きをお願いします」
「かしこまりました」
ラッキー、オオカミの事をギルドマスターに報告しようと思っていた所だ。渡りに船だな。
ギルドマスターの所へは、俺とリンさんとビアンカ殿下とエステル殿下で向かう事に。
「リン様、急にお呼びする形になり申し訳ありません」
「いや、こちらもお伝えすることがありますのでちょうど良かったです」
ギルドマスターの部屋に案内されると、マスターのノームさんがいた。
案内してくれた受付のお姉さんがお茶を入れて退出した所から、話が始まった。
「先にこちらからの報告をお伝えします。先程テリー様にも伝えてあります。一つは護衛依頼についてになります。実は護衛依頼の多くがダミー商会を通して、最終的にはワース商会にたどり着きました。もちろん偽装行為ですのでワース商会に抗議した所、ピタリと護衛依頼が来なくなりました」
「偽装請負は犯罪ですし、それに何か裏のある物を運んでいた可能性がありますね」
「しかしワース商会ですか。全く不思議ではない結果です」
「はい。これは一部の冒険者からも報告があり、そちらからの情報も大きい手掛かりになりました」
偽装請負は何となくありえるかと思った。
あの依頼掲示板に、ワース商会からの物がなかったのを確認している。
これはワース商会を捜索する手立てに十分なりえる。
「また、窓口の者に冒険者の噂を集めさせた所、このワース商会が絡んでいる依頼を受けた冒険者の内、特に荒っぽい冒険者の姿が見えなくなったとありました」
「これは、もしかして闇ギルド?」
「その可能性があります。新人を手出しできなくなったので、偽装依頼で闇ギルドへの勧誘を行っている可能性があります」
「ほほ、点が徐々に線で繋がってきたのじゃ。もう少し証拠があれば、強制捜査も可能じゃろう」
「テリー様も内偵を強化しております。近日中には動きがありそうです」
ここまでくれば、後は直接の証拠があれば動ける。
問題はどうやって証拠を取るかだな。
この辺はテリー様にお任せしよう。
「ギルドからの報告は以上です」
「ノームさん、非常に助かりました。今度はこちらから報告します。ブルーノ侯爵への街道沿いを主として魔物の討伐をしております。実は元からいたオオカミとコンタクトを取ることができ、魔物は最近になってブルーノ侯爵領からやってきた可能性が高いと思われます」
「この辺りの魔物は、街道にいる分には人を襲うことは少ないのですが、そういう訳だだったのですね」
「ここ暫く討伐した魔物を、一般の冒険者にも討伐して貰えば、街道の治安は良くなると思いますわ」
「対象の魔物はリン様達が討伐した結果で分析可能です。ランクにもよりますが、護衛依頼がなくなった冒険者の救済もできましょう」
「一般の冒険者には十分対応可能かと。ただ、数が多いのでそこには注意ですわ」
「この件は直ぐに動きましょう」
ノームさんも直ぐに動いてくれそうで、少しは街道の治安も良くなりそうだ。
あと少し頑張らないと。
ギルドからお屋敷に帰ってきたら、早速テリー様に呼ばれた。
タラちゃんとかの連絡役のリーフも同席していた。
「サトー殿、やっとやつらの尻尾を掴めそうだ」
「しかしながら、まだ慎重に事を運ばないといけません」
「ああ、十分承知しておる。難民問題といい、街道問題といい、やつらは何をしでかすかわかったもんじゃない」
闇ギルドは何をするかわからない所がある。
下手に突くと暴発する可能性もあるな。
「こちらも慎重に動きます。所で何故にリーフも同席でしょうか?」
「それはリーフ殿から話したほうが良いだろう」
「そうだねー。一つはワース商会が焦り始めているということだねー」
「まあこれだけの事が分かって動けなくなったからね」
「後はあまり良い話じゃないけど、どうもビルゴの仲間がワース商会にいるっぽいよー」
「おいリーフ、それは本当か?」
「変装していたみたいだけど、タラちゃんは誤魔化せなかったようだねー」
これはビックリだ。あのビルゴの仲間がいるとなると、本当に何をしでかすかわかったもんじゃない。
特にビアンカ殿下とリンさんの表情が歪んだのがわかった。
「今、指名手配犯の可能性のある人物がワース商会にいるかは分からない。だが、既にワース商会と闇ギルドは繋がっていると思って良いだろう」
「今は間接証拠だけで、直接証拠はないのが歯がゆいですね」
「ああ、だが直接証拠が取れ次第直ぐに乗り込む。この騒ぎの代償は、何倍にも返してやらないと」
うわー、テリー様の顔が激怒モードで背後には炎が見えるよ。
娘のリンさんもあまりの激怒にビックリしている。
本当に色々あったから、よっぽど頭にきているんだろうな。
今日は早めに休んで、明日に備えることにした。
ちなみにサーシャさんはこの雰囲気を読んでくれたのか、今日のファッションショーは中止となった。
なら、昨日の俺の採寸も中止にしてほしかったなあ。