「さて、方向性も決まったし、妾達ももう少し情報を集めんといかんのじゃ。サトーよ、この後はどうするのじゃ?」
「ギルドにある依頼を確認してから帰ろうと思います」
「わかった、そなたは強いが道中は気をつけるのじゃぞ。おお、そうじゃ、フランソワの従魔契約をしないといかんのう。一緒に一階に行こうとするか」
二階のギルドマスターの部屋から一階にゾロゾロと降りていく。
うーん、ひと段落してなのか、空気がうまい。
軽く背伸びをしながら後についていく。
「皆様お疲れ様です」
「おお、ちょうど良かった。妾の従魔契約をお願いしたいのだが」
「殿下の従魔契約ですか? 宜しいですが、どんな魔物になりますか?」
「昨日サトーが契約したシルクスパイダーじゃ。一匹が妾に懐いての」
「サトー様が連れてきた魔物ですね。わかりました、手続きをするので暫くお待ち下さい」
「うむ、、よろしく頼むぞ」
ビアンカ殿下は、俺の冒険者手続きをしてくれた受付のお姉さんに従魔契約の手続きを頼んだ。
お姉さんはびっくりしながらも、何事もないかの様に対応していた。
「ビアンカ殿下、あの受付の方とお知り合いですか?」
「うむ、前にギルドを訪れた際に色々案内してくれての。それ以来、ギルドに来るたびにちょくちょく世話になっておる」
「ああ、なるほど。面倒見が良さそうな方ですものね」
「立場に関係なく話せるのはありがたい事じゃ」
そうだよなあ、まだ八歳なのに立場があるから下心とかで近づいてくる人も多そうだ。
何も気兼ねなく話せる人は貴重なんだろうなあ。
「どれ、準備が出来るまで久々に依頼を眺めるとしようかのう」
「わかりましたビアンカ殿下。お供いたします」
「うむ、よろしく頼むぞ」
「ではビアンカ殿下、私は帰りの準備を行なって参ります」
「バルガスよ頼むぞ」
バルガス様が帰りの支度を行い、従魔の手続きの間にビアンカ殿下と一緒に依頼掲示板へ。
掲示板の近くには昨日一緒に依頼をこなした人物が。
「リンさん、みなさん。依頼を確認ですか?」
「あらサトーさん、昨日ぶりですね。おや? 横にいらっしゃる方は……まさか」
リンさん達は急いで片膝をついた臣下の挨拶の状態になった。
リンさんもあったことがあるんですね。
「ご挨拶が遅れ申しございません。ビアンカ殿下」
「良い良い、公式の場ではない。立つが良いぞ」
ビアンカ殿下はギルド内ということもあり、すぐにリンさんたちを立たせた。
こういう機転が出来るのは流石だ。
「子爵家はバルガス所の隣ゆえ、よく行くのじゃ」
「はい、ビアンカ殿下には色々お世話になっております」
「ところでサトーよ、子爵家の者とはどこで知り合ったのじゃ?」
「初心者講習で一緒になりました。また、昨日も一緒に依頼をしております」
「ほほう、ではフランソワと一緒にいたクモのもう一人の主人というわけじゃな」
「はい」
「サトーさん、殿下とはどこでお会いになったのですか?」
「いやあ……、何というべきか……」
「サトーは妾の命の恩人じゃ」
「何とまあ、サトーさんはすごい方と思っておりましたが、そこまでとは」
なんかリンさん達が尊敬の眼差しをしているが、あれは偶然だったんですよ!
「リンよそなたの従魔を見せてはくれぬか?」
「はい、こちらになりますわ」
「おお、妾のフランソワと一緒じゃのう。名は何というのじゃ?」
「はい、ポチと言いますわ」
「ポチか、かわいい名前じゃのう」
今度はお互いのクモを見せ合いっこしているが、流石殿下。
リンさんのクモの名前を軽く受け流したぞ。
あんなスキル俺も欲しい。
「殿下、お待たせして申し訳ありません。準備が整いました」
「いや、問題ないぞ。サトーよいくぞ」
「はい殿下。リンさんもまた」
「はい。殿下、サトーさん。ごきげんよう」
受付のお姉さんが殿下を呼びにきたので、リンさんと別れて受付へ。
従魔契約自体は問題なくあっという間に終了した。
「ほほ、これでフランソワも妾と一緒じゃ」
フランソワも脚を上げて喜んでいる。
なんか微笑ましい光景だ。
「いや、離して!」
「良いじゃないか姉ちゃんよ。俺らが一緒に教えてやるぜ」
ギルド内に女性の声が聞こえ、声のした方角を見たら……
またあいつらだ。
急いで駆けつけようとしたら、その前に駆けつけた人がいた。
「やめなさい、その人が嫌がっているじゃない!」
「なんだ? 昨日の嬢ちゃんか。やっぱ俺らと一緒にいくか?」
駆けつけたのはリンさんたちだった。
男達はゲスな笑みを浮かべてリンさんたちを手招きしている。
「あなたたちと誰も一緒にいきませんわよ。ポチ、鋼鉄の糸!」
「何だこのクモは。何、糸が切れない!?」
おおすごい、ポチが吐いた糸で相手を絡めとった。
リンさんも昨日の涙目状態とは明らかに違うぞ。
「くそ、やばいぞ」
「逃げるぞ」
「おい、置いていくな!」
三人組の内、糸に絡まって動けない一人を残して二人は逃げていった。
「よくやったぞ、リンよ。大手柄だ! おい、こいつを部屋へ運べ!」
「「はい!」」
「くそ、離しやがれ!」
ガンドフさんとギルドの男性職員が、リンさんを褒めながら捕まえた男を部屋に運んでいく。
容疑者確保は大きい。これで色々取り調べが出来るぞ。
「リンよ、大義であった」
「ビアンカ殿下、過分なお言葉に存じます」
「そなたのお陰で色々分かりそうだ。後日公爵邸に来るが良い」
「分かりました。伺わせていただきます」
ビアンカ殿下がリンさんを褒めていたけど、確かに大手柄だ。
リンさんも心なしか誇らしげだ。
「襲撃だー!」
「御館様を守れ!」
今度はギルドの裏手に止めてあった馬車の方から声が上がった。
くそ、同時に動いたか。
「バルガス様が危ない」
「私たちも行きます」
「妾もいくぞ」
急いで駆けつけると、馬車を取り囲むように五人の襲撃者が。
護衛は四人いたけど、既に一人切り付けられていて膝をついている。
バルガス様は何とか馬車の中に避難したようだ。
「助太刀します。ポチ、鋼鉄の糸!」
「妾たちを襲うとはのう。フランソワ、電撃の糸!」
「何、糸が切れない」
「うわー! 痺れる!」
おおすげー! 先制のポチとフランソワのダブル攻撃で、あっという間に二人を行動不能にしたよ。
俺も急がないと。
「オリガさんは殿下の護衛を。マリリさんは負傷者の回復を」
「リン様、任された」
「リンも気をつけて」
リンさんがすぐに分担をして、陣形を立て直す。
「リンさん、ツーマンセルで!」
「分かりましたわ、サトーさん」
バルガスさんの騎士も複数で襲撃者に立ち向かっていく。
逆に襲撃者は数的不利になり、あっという間に二人が倒され残りは一人。
「くそ!」
捨て台詞を吐きながら、襲撃者の一人が逃げようとしている。
急いで追いかけようとしたら、いつの間にか横にマリシャさんがいた。
「あらあら、お仕置きしないと」
うわー、マリシャさんガチギレしている。
と思ったら、横にいたマリシャさんの姿が消えた。
「うわー!」
いつの間にか襲撃者の前に回り込んでいたマリシャさんが、襲撃者を吹っ飛ばしていた。
襲撃者は白目剥いて気絶している。
気絶している襲撃者をマリシャさんがずるずると引っ張ってきている。
体格差何倍もあるのにすげーよ。
「建物の中で暴れて、そちらに気が向いたところで本命の馬車襲撃だったみたいですね」
「全くのう、でもこれで奴らも手駒がなくなって動きにくくなったぞ」
ビアンカ殿下と話ししていたら、馬車の中からバルガス様が出てきた。
手を擦りむいていたが、他には怪我はなさそうだ。
すぐにマリリさんが回復魔法を使って治療する。
「御館様、怪我をさせてしまって申し訳ありません」
「いや、命と比べれば怪我なんて安いものだ。そなたが命懸けで守ってくれたお陰だ」
「御館様……」
どうも怪我した騎士さんが急いでバルガス様を馬車に押し込んだらしい。
バルガス様はその時に擦り傷を負ったらしいが、騎士さんは自らを盾にして襲撃者からバルガス様を守った。
怪我も重症だが、マリリさんの回復魔法で何とかなった。
本当に騎士さんのファインプレーだな。
「ビアンカ殿下、襲撃者を撃退するような真似をさせてしまい申し訳ございません」
「良い、一歩遅ければ我も襲われたのじゃ。何も問題ない」
「もったいないお言葉です。そなたは隣の子爵家のものだな。襲撃者を撃退してくれただけでなく、怪我の回復もしていただき感謝する」
「いえ、当然の事をしたまでになります」
そういえばビアンカ殿下も一人撃退していたんだ!
すっかり忘れていたよ。
リンさんたちも大活躍だったから、評価も爆上がりだ。
「ギルドマスターよ、尋問にはうちの騎士も立ち合わせたいのですがよろしいかな?」
「はい、ありがとうございます。ギルドだけでは対処できない案件ですので」
「分かりました。監視には騎士の詰所の牢を使わそう」
「重ね重ねありがとうございます。取調が完了次第、移送いたします」
「うむ」
バルガス様とマリシャさんとの間で、襲撃者の取扱が決まったようだ。
厳重に監視しておかないと、今度は襲撃者の命が危うい。
情報はしっかり吐かせてもらわないと。
あと俺は一つ気になったことがあった。
「マリシャさん、今日我々が来る事はギルド内ではどなたがご存知ですか?」
「私と旦那のみになります。ということは……」
「はい、間違いなく敵はお屋敷にいる関係者になります」
これで主犯格が絞り込めたぞ。
倍返しではく百倍返しにしてやる。
「ギルドにある依頼を確認してから帰ろうと思います」
「わかった、そなたは強いが道中は気をつけるのじゃぞ。おお、そうじゃ、フランソワの従魔契約をしないといかんのう。一緒に一階に行こうとするか」
二階のギルドマスターの部屋から一階にゾロゾロと降りていく。
うーん、ひと段落してなのか、空気がうまい。
軽く背伸びをしながら後についていく。
「皆様お疲れ様です」
「おお、ちょうど良かった。妾の従魔契約をお願いしたいのだが」
「殿下の従魔契約ですか? 宜しいですが、どんな魔物になりますか?」
「昨日サトーが契約したシルクスパイダーじゃ。一匹が妾に懐いての」
「サトー様が連れてきた魔物ですね。わかりました、手続きをするので暫くお待ち下さい」
「うむ、、よろしく頼むぞ」
ビアンカ殿下は、俺の冒険者手続きをしてくれた受付のお姉さんに従魔契約の手続きを頼んだ。
お姉さんはびっくりしながらも、何事もないかの様に対応していた。
「ビアンカ殿下、あの受付の方とお知り合いですか?」
「うむ、前にギルドを訪れた際に色々案内してくれての。それ以来、ギルドに来るたびにちょくちょく世話になっておる」
「ああ、なるほど。面倒見が良さそうな方ですものね」
「立場に関係なく話せるのはありがたい事じゃ」
そうだよなあ、まだ八歳なのに立場があるから下心とかで近づいてくる人も多そうだ。
何も気兼ねなく話せる人は貴重なんだろうなあ。
「どれ、準備が出来るまで久々に依頼を眺めるとしようかのう」
「わかりましたビアンカ殿下。お供いたします」
「うむ、よろしく頼むぞ」
「ではビアンカ殿下、私は帰りの準備を行なって参ります」
「バルガスよ頼むぞ」
バルガス様が帰りの支度を行い、従魔の手続きの間にビアンカ殿下と一緒に依頼掲示板へ。
掲示板の近くには昨日一緒に依頼をこなした人物が。
「リンさん、みなさん。依頼を確認ですか?」
「あらサトーさん、昨日ぶりですね。おや? 横にいらっしゃる方は……まさか」
リンさん達は急いで片膝をついた臣下の挨拶の状態になった。
リンさんもあったことがあるんですね。
「ご挨拶が遅れ申しございません。ビアンカ殿下」
「良い良い、公式の場ではない。立つが良いぞ」
ビアンカ殿下はギルド内ということもあり、すぐにリンさんたちを立たせた。
こういう機転が出来るのは流石だ。
「子爵家はバルガス所の隣ゆえ、よく行くのじゃ」
「はい、ビアンカ殿下には色々お世話になっております」
「ところでサトーよ、子爵家の者とはどこで知り合ったのじゃ?」
「初心者講習で一緒になりました。また、昨日も一緒に依頼をしております」
「ほほう、ではフランソワと一緒にいたクモのもう一人の主人というわけじゃな」
「はい」
「サトーさん、殿下とはどこでお会いになったのですか?」
「いやあ……、何というべきか……」
「サトーは妾の命の恩人じゃ」
「何とまあ、サトーさんはすごい方と思っておりましたが、そこまでとは」
なんかリンさん達が尊敬の眼差しをしているが、あれは偶然だったんですよ!
「リンよそなたの従魔を見せてはくれぬか?」
「はい、こちらになりますわ」
「おお、妾のフランソワと一緒じゃのう。名は何というのじゃ?」
「はい、ポチと言いますわ」
「ポチか、かわいい名前じゃのう」
今度はお互いのクモを見せ合いっこしているが、流石殿下。
リンさんのクモの名前を軽く受け流したぞ。
あんなスキル俺も欲しい。
「殿下、お待たせして申し訳ありません。準備が整いました」
「いや、問題ないぞ。サトーよいくぞ」
「はい殿下。リンさんもまた」
「はい。殿下、サトーさん。ごきげんよう」
受付のお姉さんが殿下を呼びにきたので、リンさんと別れて受付へ。
従魔契約自体は問題なくあっという間に終了した。
「ほほ、これでフランソワも妾と一緒じゃ」
フランソワも脚を上げて喜んでいる。
なんか微笑ましい光景だ。
「いや、離して!」
「良いじゃないか姉ちゃんよ。俺らが一緒に教えてやるぜ」
ギルド内に女性の声が聞こえ、声のした方角を見たら……
またあいつらだ。
急いで駆けつけようとしたら、その前に駆けつけた人がいた。
「やめなさい、その人が嫌がっているじゃない!」
「なんだ? 昨日の嬢ちゃんか。やっぱ俺らと一緒にいくか?」
駆けつけたのはリンさんたちだった。
男達はゲスな笑みを浮かべてリンさんたちを手招きしている。
「あなたたちと誰も一緒にいきませんわよ。ポチ、鋼鉄の糸!」
「何だこのクモは。何、糸が切れない!?」
おおすごい、ポチが吐いた糸で相手を絡めとった。
リンさんも昨日の涙目状態とは明らかに違うぞ。
「くそ、やばいぞ」
「逃げるぞ」
「おい、置いていくな!」
三人組の内、糸に絡まって動けない一人を残して二人は逃げていった。
「よくやったぞ、リンよ。大手柄だ! おい、こいつを部屋へ運べ!」
「「はい!」」
「くそ、離しやがれ!」
ガンドフさんとギルドの男性職員が、リンさんを褒めながら捕まえた男を部屋に運んでいく。
容疑者確保は大きい。これで色々取り調べが出来るぞ。
「リンよ、大義であった」
「ビアンカ殿下、過分なお言葉に存じます」
「そなたのお陰で色々分かりそうだ。後日公爵邸に来るが良い」
「分かりました。伺わせていただきます」
ビアンカ殿下がリンさんを褒めていたけど、確かに大手柄だ。
リンさんも心なしか誇らしげだ。
「襲撃だー!」
「御館様を守れ!」
今度はギルドの裏手に止めてあった馬車の方から声が上がった。
くそ、同時に動いたか。
「バルガス様が危ない」
「私たちも行きます」
「妾もいくぞ」
急いで駆けつけると、馬車を取り囲むように五人の襲撃者が。
護衛は四人いたけど、既に一人切り付けられていて膝をついている。
バルガス様は何とか馬車の中に避難したようだ。
「助太刀します。ポチ、鋼鉄の糸!」
「妾たちを襲うとはのう。フランソワ、電撃の糸!」
「何、糸が切れない」
「うわー! 痺れる!」
おおすげー! 先制のポチとフランソワのダブル攻撃で、あっという間に二人を行動不能にしたよ。
俺も急がないと。
「オリガさんは殿下の護衛を。マリリさんは負傷者の回復を」
「リン様、任された」
「リンも気をつけて」
リンさんがすぐに分担をして、陣形を立て直す。
「リンさん、ツーマンセルで!」
「分かりましたわ、サトーさん」
バルガスさんの騎士も複数で襲撃者に立ち向かっていく。
逆に襲撃者は数的不利になり、あっという間に二人が倒され残りは一人。
「くそ!」
捨て台詞を吐きながら、襲撃者の一人が逃げようとしている。
急いで追いかけようとしたら、いつの間にか横にマリシャさんがいた。
「あらあら、お仕置きしないと」
うわー、マリシャさんガチギレしている。
と思ったら、横にいたマリシャさんの姿が消えた。
「うわー!」
いつの間にか襲撃者の前に回り込んでいたマリシャさんが、襲撃者を吹っ飛ばしていた。
襲撃者は白目剥いて気絶している。
気絶している襲撃者をマリシャさんがずるずると引っ張ってきている。
体格差何倍もあるのにすげーよ。
「建物の中で暴れて、そちらに気が向いたところで本命の馬車襲撃だったみたいですね」
「全くのう、でもこれで奴らも手駒がなくなって動きにくくなったぞ」
ビアンカ殿下と話ししていたら、馬車の中からバルガス様が出てきた。
手を擦りむいていたが、他には怪我はなさそうだ。
すぐにマリリさんが回復魔法を使って治療する。
「御館様、怪我をさせてしまって申し訳ありません」
「いや、命と比べれば怪我なんて安いものだ。そなたが命懸けで守ってくれたお陰だ」
「御館様……」
どうも怪我した騎士さんが急いでバルガス様を馬車に押し込んだらしい。
バルガス様はその時に擦り傷を負ったらしいが、騎士さんは自らを盾にして襲撃者からバルガス様を守った。
怪我も重症だが、マリリさんの回復魔法で何とかなった。
本当に騎士さんのファインプレーだな。
「ビアンカ殿下、襲撃者を撃退するような真似をさせてしまい申し訳ございません」
「良い、一歩遅ければ我も襲われたのじゃ。何も問題ない」
「もったいないお言葉です。そなたは隣の子爵家のものだな。襲撃者を撃退してくれただけでなく、怪我の回復もしていただき感謝する」
「いえ、当然の事をしたまでになります」
そういえばビアンカ殿下も一人撃退していたんだ!
すっかり忘れていたよ。
リンさんたちも大活躍だったから、評価も爆上がりだ。
「ギルドマスターよ、尋問にはうちの騎士も立ち合わせたいのですがよろしいかな?」
「はい、ありがとうございます。ギルドだけでは対処できない案件ですので」
「分かりました。監視には騎士の詰所の牢を使わそう」
「重ね重ねありがとうございます。取調が完了次第、移送いたします」
「うむ」
バルガス様とマリシャさんとの間で、襲撃者の取扱が決まったようだ。
厳重に監視しておかないと、今度は襲撃者の命が危うい。
情報はしっかり吐かせてもらわないと。
あと俺は一つ気になったことがあった。
「マリシャさん、今日我々が来る事はギルド内ではどなたがご存知ですか?」
「私と旦那のみになります。ということは……」
「はい、間違いなく敵はお屋敷にいる関係者になります」
これで主犯格が絞り込めたぞ。
倍返しではく百倍返しにしてやる。