うーん、あれ? いつの間にか寝ていたのだろうか。
 ここはどこだろう?
 全くの見覚えのない場所……というか空間。
 教会の様で教会じゃなさそうだけど、ここは?

 えっと、今日の出来事を思い出そう。
 俺は独身のもうすぐアラサーのサラリーマン。両親はすでに他界している。兄弟もいないので血縁はいない。彼女もいたことがない。
 普段は社畜の様に働き、休日は猫カフェで猫に癒される生活だ。よく三毛の猫が絡んでくれる。動物にはよく好かれる。趣味はソロキャンプでそれなりに料理は出来る。
 今日はいつもの通り働いて、久しぶりに仕事帰りに居酒屋で一杯飲んで、ボロアパートへの帰り道に真っ白な子犬が道端にいたので、頭撫でていたら突然ライトが迫ってきて……
 そこから先の記憶が全く思い出せない。
 よく見たら、俺宙に浮いていないか?
 あの迫ってきたライトは車のヘッドライトだったのでは。
 もしかして、俺って車にはねられて死んだのか?

 「そうです、あなたは車にはねられ、残念ながら亡くなりました…サトーシュンさん」
 「うお! びっくりした」

 突然目の前がピカーっと光ったと思ったら、神様? 天使? の様な女性がいた。
 やっぱり死んでいた? だと、ここはどこだろう?

 「私はあなたの世界でいう神様みたいなものと思って頂いて結構です。あなたは私の眷属の頭を撫でていた所、運悪く事故に巻き込まれました」
 「眷属? うわ、大きな犬? オオカミ?」
 
 神様? が俺が死んだ時の事を話してくれたが、神様? の横に突然大きな白いオオカミみたいな生き物が現れた。
 
 「彼は私の眷属なので死ぬことはありません。あの事故でも無事です。あの時頭を撫でてくれたらとっても気持ちよかったので、あなたの魂をここまで連れてきたそうです」
 
 ……確かにいつも猫カフェとか行くと、猫の頭を撫でると表情がとろけていたっけ。でもなんでだろう?

 「あなたの魂がここにきた事で、元の世界の管理から外れてしまいました。我が眷属のした事とはいえ申し訳ない。このままでは永久にあなたの魂は彷徨う事になるでしょう。そうならないように、あなたの魂を元いた世界から新しい世界へ移す必要があります」
 
 元の世界ではなく新しい世界に行くのか。どうも拒否権はなさそうだ。どんな世界だろう?

 「我が眷属もあなたと共に新しい世界へ行きたがっています。連れていってはくれないでしょうか?」
 「……ジー……」

 神様はああ言っているが、白いオオカミからとっても熱い視線が……
 まあしょうがないかな。一緒に行こうか?

 ブンブンブンブン

 おお、白いオオカミの尻尾が大きく揺れている。こう見るとかわいいな。

 「新しい世界に行くにあたり、あなたに役に立つ力を幾つか授けましょう。詳しいことは新しい世界についた後にお話しします」
 
 それは助かる。

 「サトーシュンさん。あなたに幸有らんことを」

 神様? がまたピカーっと光ったら、意識が遠くなっていった。