カンパネルラと話した後はブルカニロさんから仕事の説明を受けた。
勤務時間は平日は学校が終わってから20時まで。
土日祝日は9時から20時。依頼主の死因調査は平日に書類捜査、土日祝日、長期休みに実際に現世(生きている人の世界)に行って捜査する。随分と人間に考慮されているのは死因調査員には死者が見える人間しかなれないからなんだそうだ。それに加えて驚くことにミヤザワさんからもらった制服を着て現世に行くと普通の人には姿が見えなくなるという。着たら姿が見えなくなるなんて悪用されてしまったら怖いけれど、制服が選んだ人間、つまり《名前》に相応しい人間にしか着ることができないらしい。私は今着ている制服を見下ろす。ちゃんと選ばれていることにほっとした。

「と、まぁ仕事に関してはこんな感じでしょうか。他に何か質問はありますか?」

私は首を横に振る。
ブルカニロさんはバインダーのようなものをペラペラとめくる。

「では、次に通勤方法についてお話しします。よだか駅という駅がわかりますか?」

私は頷く。よだか駅というのは私の住む街の郊外にある廃駅のことで、大正時代に造られ、近くに大きな駅ができたことで昭和初期に廃駅になったという歴史がある。最近になって近所の住民から誰もいないはずの駅舎に灯りが灯っている、人影が見えるという話を受けて何度か取り壊そうとしたらしいけれど、原因不明の重機の故障が起こって中止になり、ならば文化財として保護しようとしとしてもまたもや原因不明の機器の故障で断念したりと心霊スポットとして有名になりつつある。

「実はそこは現世と銀河ステーションをつなぐ改札のような役割をしているんです。そこから出ている汽車に乗ってこの銀河ステーションに通勤してください。」