アラームが鳴り、目を覚ます。寝ぼけ眼で携帯を確認すると流風からおはよう！というスタンプが届いていた。

よかった。昨日のことは夢じゃなかったんだ。

あまりに不思議なことが起こりすぎて、自分の夢だったのかと不安になったが、通知を見て安心する。
流風に返事を返して、朝ごはんと共にお弁当を作り、お姉ちゃんにメモを残して学校へと向かう。同じクラスに友達がいると考えるだけで少しうきうきする。

教室に入るといつも通り、朝早くにくる数人が席に座っていた。その中には流風もいる。

「おはよう、帆奈」

どうやって挨拶しようか迷っていた私に流風はそう言って笑った。

「おはよう....流風」

緊張したぎこちない笑みを浮かべながらそう返す。急にあいさつをするようになって周りから注目されないか心配だったが、それで騒ぐようなクラスメイトはまだいないようだ。私は少しホッとして自分の席に着く。その日は特に何か起こることもなくあっという間に終わった。

流風が何度か話しかけようと席の近くに来てくれたのにちゃんとした会話もできずに、そのことに驚いて避けるようにしてしまったことは秘密にしよう

帰ろうと席を立つとポケットの中のスマホが震えた。

『初仕事の依頼が来たよ。校門の前で待ってるから一緒に行こう』

そう書かれた流風からのメッセージを確認すると、私は少しの緊張と好奇心を心に教室を出た。