秋の風が、色づいた葉をさらっていく。 屋上から見える空は、どこまでも澄み渡っているのに、俺の心は霞んでいた。 俺の隣にはいつも玲がいた。でも、それは過去の話。 ――『真琴』 耳に残る声。 声の持ち主はもうここにはいない。 思い出そうとするほど、胸が締めつけられる。 あの時、俺は何をしていた? 何をすればよかった? やり直せるなら――。 今、キミに逢いに行く。