女は自身を懺悔していた。日向の母となって十四年――一度たりともその罪を意識しない日はない。
 そしてなお……更に罪は深くなっている。それは年々、女の内に重く深く刻まれていった。

 主人を助けられなかったこと。主人に助けられたこと。
 そして、刻が来ることを知っていながら……願い託された御子を鍛えることができなかったこと。
 自らが訓えることができず、道場へと通わせ……才あると感じ悲しくなったこと。
 これは自分の我侭だった。気持ちを抑えることができなかった……自分の罪。

 女は涙した。
 泣くことも自分には許されぬことだと知っていても、刻が来たことに涙した。
 これは、母の感情なのか、それとも、別の感情なのか……自分では気付かないようにして。