「そうだな。では、どうする日向?」
「そうですね……三者会談のようにできたらいいのですが」
「それはさすがに無理だろう。それに、順番もある。会えたとしても、どちらを先にしたかで片方の態度も決まる」
「はい、分かっています」

 燈燕の言葉に、日向は頷きにこりと笑った。
 月代と先に会えば、妖は警戒し敵となり、妖と先に会えば、月代は話すら聞かずこちらを攻めてくるようになる。順番が大事となることは、日向もまた重々に承知していた。

「月代か、妖か……」

 日向は考え……そして、そもそものことをまだ聞いていなかったことに気付いた。このことを知らなければ、会うことすらできない。

「そういえば、妖となるとどなたにお会いすればいいのですか?」
「そうだったな、確かにそれも教えねばならなかったか」

 日向の問いに、灯澄もまた苦笑した。考えているようでいて、大事なことを教えていない。そのことに、我ながら苦笑してしまう。

「実をいえば、妖と一言でいっても一つにまとまっている訳ではない。我らのように少数で居る者も多くいる。後は、土地ごとに集まっている者もいれば、大きくなれば地方によって集まっている者もいる。人の社会と違ってばらばらなのだ。それぞれがそれぞれの考えを持っているため、厄介といえば厄介だが、だが、小さい集まりで我らに接して来ようとする者はいないだろう。こちらが考えなければいけないのは、月代に脅威を受けている妖だけ」
「それはどこになりますか?」
「我らも妖の集まりの外なので詳しくはないが……そうだな、大きいといえば九尾のところか」
「はい、そうだと思います」

 灯澄の言葉に、スズが頷いた。