代替わりしてから一月も経っていないのだ。

(この仕打ちはあまりにも……)

 陽織でなくとも、親しいものなら誰もがそう思っただろう。

 月隠(つきごもり)家。月代(つきしろ)十一家末席。だが、その歴史は浅い。まだ席を列ねて七十八年である。
 早くに隠居されたとはいえ、大小母様の力は絶大であった。大小母様の幼少の時より気に入られ、当主の座に就いた十八には席を賜ることとなり、それより後七十八年、月隠家は大小母様の庇護により存続することができた。
 それが、大小母様がお亡くなりになった途端にである。元より良く思われていなかった月隠家は目に見えて迫害を受けるようになってしまった。

 その始まりは忘れもしない。大小母様葬儀の折、我が家は参列を許されなかったのだ。それから後の仕打ちに関しては、思い出したくもない。
 大小母様をお恨みすることなど絶対にないが……大小母様に子がいなかったことが当家にとっては一番の不幸だったろう。結婚の話はたびたび持ち上がっていたのだが、大小母様は結局最後まですることはなく、早々に隠居されてしまった。もちろん、結婚をされなかったのは大小母様自身の性格もあっただろう。あれほど豪気な方であれば、確かに難しいところはあったかもしれない。
 しかし、その為、上首である第一家の次の代は他の筋から迎えなくてはならなくなってしまった。いくら大小母様に力があったとはいえ、一存で当主を決めれるほどの権力は流石になかった。