エピローグ

「約束しよう」
私と君が約束したのはいつだったっけ。
あぁ、そうだ。卒業式の日だったっけ。
今日も君はここに来ない。
まだ先に進めない。
君は進ませてくれない。
いつまでも待ってる。
君が進む、進もうとするその日まで。






小学校に入学してから今日で六年目。
今年もアイツと同じクラスになるのか。
「新クラス表配布するぞ」
まじでアイツと同じクラスだけは。神様。六年連続同じクラスは嫌です。
クラス表をみる。
「最悪!今年も同じクラスなんだけど!ねぇ、あやー!最悪なんだけど!」
親友に助けを求める。夢だと言ってくれ。
「しょうがない。現実だ。あきらめろ。」
最悪最悪最悪最悪最悪最悪マジが。
「青木ー!今年もまた同じクラスなんだけど!」
諦めて本人を呼ぶ。
「まじでか。ふざけんな。」
「青木ひどくない?こっちのせりふなんだけど。」
また青木と同じクラスだった。五年連続。最悪。
「青木、出席番号何番?」
「俺は二十番。近藤は?」
「私はねぇ、七番。」
席は近くないみたいだ。
「今日もいつものメンバーで帰る?青木に聞かれる。
「あー、いいよ。流香が二組で、千紗斗と葵が四組だって。」
「じゃあ待つか。」
「そうだね。」
少し時間がたって、みんなそろったから帰り始める。
「いーなー。千紗友達と葵、同じクラスで。」
「それ言うなら、一翔と里依歌も同じクラスじゃん?」
「私たちは腐れ縁なんです!」
青木に向かって嫌みをいってやる。
「今年さ、卒業じゃん?卒業式終わったらみんなでどっかか行こーよ。」
「いいね。」
「どこにする?」
「気、早くない?また今日、始業式だよ?」
そんな話をしながら歩く。
ブーブーブー!!!
「え?」
トラックがこっちにすごいスピードでクラクションを鳴らしながら突っ込んでくる。
「青木!」
青木がトラックにひかれた。
脳の処理が追いつかない。
「キャー!青木?青木?ねぇ!」
「救急車?周りに大人いないの?!」
青木がひかれた。
青木がトラックにひかれた。
血がすごい。
さっきまで話してたのに。
どうして?
生きてるよね?
すぐに救急車がきた。
青木は救急車に運ばれて、近くにいた救急車を呼んでくれた大人の人が一緒に乗って。
私がきずかないうちに青木の親にも連絡をしてくれたみたいだ。



青木が運ばれてから一時間がたった。
今私たちの目の前には青木がいる。
「一翔?ねぇ、一翔!答えてよ。返事をしてよ!」
一翔のお母さんが泣いている。
脳の理解が追いつかないけど、即死だったらしい。
流香も千紗斗も葵もみんな泣いている。
どうして?さっきまであんなに元気だったじゃん。
生きてるよね?今にでも起きて、目が合いそうなのに。
起きてほしい。ここにいるみんなの願いは届かなかった。