ひどく喉が乾いて、机の上に置いてある水を飲んだ。


「世にいう、ブラコンってやつ、僕」


「へ、へぇ!」



へ、平常心だ。お兄さんと、暁くんは違う。


そもそも、人を殺したという話さえ事実じゃないかもしれないんだし。


暁くんは、何事もないかのようにまたパスタに瞳を落としたが、その笑みが消えた。


カラン、とコップに入っている氷が揺れる。



「僕は…」


「…暁くん?」



暁くんの黒い髪がその目元を隠して、暁くんは下に顔を向けたまま、何か、自身に言い聞かせるように。

その声は、いつもより幾分か低い。



「・・・俺は、兄ちゃんを尊敬している」