朝はピッタリ五時半に起床する。
そしてすぐに部屋の窓を開け、新鮮な空気を部屋に入れる。
このときだけ。胸がスッキリする気がする。
サアッと入り込む春の風。
まだ少し冷たくて、わずかに残った眠気を完全に払ってくれる気がした。
「ふう……」
洗面所に行き、顔を洗って、髪を整えて。
水を一杯飲んだら部屋に戻り、朝の勉強を始める。
七時になると、母が朝食が出来たと呼んでくれる。
それまでの間、私は休むことなく勉強に励む。
朝が一番能率がよいというのは本当だ。
授業中や夜に苦戦した問題も、朝のピンとした空気の中ならすんなり解ける気がする。
中学のときからこの習慣を続けているけど、成績は段違いによくなった。
高校二年の今でも私の成績は学年トップ。
もちろんこれからも落とすつもりはない。
それが私の拠り所だから。
「揚羽ー。ご飯よー」
母の呼ぶ声がする。
私は短く返事をして、問題を解いていた手を止めた。
今日の成果もまずまず。
一人で小さく満足してから、ダイニングへと向かった。