ーー梅さんからの手紙の片隅に、小さな文字を見つけたのは、桜さんと共に数十年を過ごしたあとのことだった。


愛を見つけた今なら分かる。

二人は愛し合っていないわけではなかったのだと。

誕生日は必ず何かしらの贈り物をして、花束を不意に買ってきては顔を背けながら押し付けるように渡す。

でもその頬は微かに赤く染まっていて。

あれはきっと、不器用な二人なりの愛情だったのだ。


彼女からの手紙には最後にこう記されていた。

『玉の緒よ 絶えねば絶えね ながらえば 忍ぶることの弱りもぞする。

あなたなりの気遣いが感じられる手紙を読む度に、ほんの少しだけ桜が羨ましくなりました。

二人に幸あれ』

fin.。o○