「でもそれだと、あなたにご迷惑では…」
「いいえ全く。僕は、あなたに寄り添いたいのです。心の傷は簡単には治らないと思います。
僕にできることも少ないかもしれません。
けれど、あなたといることを諦めたくないと強く思うのです」
「…愛、とかそういうの。私はよく分からなくて」
「実は僕もです。両親は愛し合う…、って感じではなかったので。
でも周りの思う愛の形ではなくてもいいのではないかと思います。
僕たちなりに、互いに尊重しながら過ごしていけたら」
でも、桜さんに対するこの気持ちに名前があるとするならそれは愛ではないかと思う。
けれどそれを、彼女に伝えることはしない。
きっと、今の彼女には重荷になってしまうだろうから。
「一緒に居させてください、桜さん」
少しの沈黙の後、桜さんは初めて私の目を見た。
「……こんな私でよければ」