僕の実家に移動して、すぐに医者に診てもらったが、あまり状況は思わしくない。

栄養状態も、心身の傷も、ずっと彼女を蝕み続けている。

それでも懸命に、これまで傍にいなかった分も彼女の傍で看病を続けた。

家にいる両親にも協力してもらった。

「可哀そうに…、ずっと苦しんでいたんだろうな」

「もっと早く気づいてあげるべきだったわ」

「僕のせいです。結婚して一年も経つというのに、放置してしまって…」

家族交代で桜さんの傍で看病した。

といっても、桜さんは殆ど眠ったままなので、傷に薬を塗って包帯を交換したりしかできることはない。

足などは母にしか頼めないが、それでも、役に立たなくてもいいから傍にいたかった。


たまに眠っているところに本を読み聞かせていると、魘されてばかりの桜さんの表情が少しだけ和らいだ。

それを知ってからというもの、毎日傍で本を読み続けた。