ーーその春、結ばれた二人は誰もが羨むおしどり夫婦と呼ばれるようになる。
「誠一郎さん、ご飯が出来ましたよ」
「あぁ、ありがとう」
「父様、抱っこー」
「ん?華はいつまでも甘えんぼだな」
可愛い娘にも恵まれ、誠一郎さんのお母様も少しづつではあるが回復に向かっている。
うちの父は誠一郎さんと私が復縁すると聞きつけて、自分に仕送りをしろだの知り合いの貴族を紹介しろだのと言ってきたが完全に無視した。
ちなみに、父の所で働いていた使用人たちは結婚した際に全員、誠一郎さんの家に引き抜いた。
暴言暴力が当たり前の職場は辛かろうと試しに誠一郎さんにお願いしてみたのだが、喜んで引き受けてくれた。
おかげで父の周りには誰もいなくなり、屋敷内は荒れ果てていると噂で聞いた。
事業も傾いてきているとかいないとか。
まぁ、今の私には関係ないことだ。
“今の家族”に害がないのならそれでいい。
「サユ、愛してるよ」
「私も、愛してます。誠一郎さん」
軽くキスを交わし、娘の頬にも片方ずつキスを送る。
本当に幸せな日々。