ーーだが、私の考えとは裏腹に誠一郎さんはどんなに雪が多かろうと山を登って私に会いにきた。
どんなに着込んでいても、耳や鼻を真っ赤にしているところを見るに相当寒いはずで、
鍛え上げられた軍人だろうと雪山はキツいはずなのだ。
危ないので会いに来なくていいと伝えても、誠一郎さんは聞かなかった。
「私があなたに会いたくて勝手に来ているだけなのでお気になさらず。それよりも何か手伝えることはありますか?」
男手は正直助かるのだが、雪山を上ってきた人に手伝わせるのは気が引ける。
「大丈夫です。これくらい何ともありません」
「でも…」
「少しでも、あなたの役に立ちたいのです」
そう懇願するように言われると、あまり遠慮するのも失礼かと思えてきてしまう。
住職にも相談して少しだけ、負担にならない程度に手伝いを頼むことになった。